ネーミングは、二晩寝かす。
永松聖子
相方が福岡の人だったので福岡を拠点にして、10年位福岡と東京を行ったり来たりした。福岡は、人はやさしいし、食は最高だし、自然は近いし、仕事はバラエティに富んでいた。九州全県に打ち合わせや取材で出張したが、なかでも長崎の仕事が多かった。長崎に行くといつも雨で、「長崎は~今日も雨だった~♪」と歌うと、若いADにぽかんとされた。懲りずに行くたびに毎回歌った。
長崎のゼリー屋さんの仕事ではネーミングを担当した。特許電子図書館で称呼検索をし、100案ぐらいプレゼンした。その中で「おいちぃーナタデココ」が良いということになり、早速弁理士さんに依頼。登録できるとわかり、いろんなフルーツでシリーズ展開した。CD、AD、クライアントさんと相談しながら、プレゼンから弁理士さんへの依頼まで担当したので、かわいさも人一倍。出来上がった商品をコンビニに見に行き、こそっときれいに並べたり、たくさん買って親戚や友人に配ったり。すくすく育ってくれることを願う、母の心境であった。
最近は、広島の和菓子屋さんの仕事で、3種のフルーツからなる琥珀糖のネーミングを担当した。「花琥珀」が良いということになり、さらにデザイナーの左合さんが王へんを取ってはどうかと提案され、クライアントさんの承認も得られ、すっきりと印象の強い「花虎白・はなこはく」となった。このお菓子は今、新宿の伊勢丹で販売されているが、時々会いに、デパ地下に通っている。
「ネーミングは二晩寝かすといい。」と、昔パッケージの会社の社長が教えてくれた。店頭に並んだ時や、長い間使われること、企業の顔つきなどを考えながら、二晩寝かす。この教えを胸に今もネーミングに取り組んでいる。わが子が育っちゃったので、商品を育てたいのだ。
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