増上寺 写経体験記
今回も地味な話で恐縮です。
コピーの練習のため、名作コピーを書き写すことを
“写経”といったりしますが。
お経を書き写す、あの本物の写経は、
一体何のためにするのでしょうか?
疑問を解消するために、増上寺の写経会へ行ってきました。
美文字ブームでもあるので、若い女性もいるのかな?と
淡い期待を寄せていたのですが、
80名の参加者のうち9割以上がお年を召した方たち。
首から金襴の輪袈裟を掛けておられる方もいて、
マジなのだなと感心するも、出鼻をくじかれた思いでした。
参加費は1,000円。「知恩院のお茶」と書かれた
500mlのお茶やクッキーなどがいただけ、
用意された真新しい細筆も持ち帰れます。
まずはお坊様から「無常」や「生死」についての法話。
ところどころ綾小路きみまろを思わせる
毒の効いた客いじりを交えながらも、最後はしんみりと、
しかしポジティブな後味を残して徳の高い話は終了しました。
すごいプレゼン力だなぁ、と感嘆。
けれども同時に、法話の流れでふれられた
お坊様ご自身の年齢が、私より1歳若いと判明したことで、
年下の方にこんこんと人生を諭されていた自分が
恥ずかしくなってしまいました。
次に法要があり、お経を唱えるわけですが、
始まった瞬間、
「あ、実家のお経とは違う!」
と気付き、
「おじいちゃん、ゴメン!」
と咄嗟に心の中で亡くなった祖父に謝っていました。
別に実家の宗派に何のこだわりもないのですが、
不思議なものですね。
やっと本題の写経に入るわけですが。
お経の書かれた紙を下に敷き、
上から紙をあて、なぞるようにして書き進めます。
お経の内容はほとんどわからないので、
ただ機械的に文字を筆で追う感じ。
制限時間は30分。意外と少ない。
あっという間に最後の日付を書く欄にきていました。
「あれ?筆を動かしている間、何も考えていなかったぞ。
というか考える余裕がなかったぞ」
と思い、そうか、これが「無」というやつか。
写経とは「無」になるための装置なんだと
勝手に納得した次第です。
そして日付を入れようと、
今日は何日だったかなと考えていると。
朝に聴いたFMラジオで、
「明日、“9月8日”は“クレバ”(ラッパーのクレバさん)
の日。コンサートが開催されます」
と言っていたのを思い出し、
そのまま9月8日と書いてしまいました・・・。
惜しくも最後にクレバさんの雑念が入ってしまいましたが、
これが私の写経体験記です。
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