にゃんにゃん。
勉強は得意な方だった。
小6で受けた模試では志望校合格率80%とかだったし、
学校の成績も、オール5だった。
中学受験なんてただの通過点。
自分でもそう思っていたし、
家族や友人にも、そう思われてるのが誇らしかった。
2月。結局僕のところに合格通知は届かなかった。
お得意のお勉強で、一校も合格できなかった自分。
顔をうずめたくなるほど恥ずかしかった。
それだけじゃない。家族の期待も裏切ってしまった。
両親とも中学受験に成功していたこともあって、
家族の中で自分だけがひどく異質なものに感じた。
そういえば、学年で1番速かった徒競走のタイム。
机に向かい続けていた夏休みの間に、平均以下まで落ちていた。
好きだった野球も、塾のために辞めていた。
自分で、自分の価値がわからなくなった。
持っているものが、なにひとつ世間に通用しなかった人間。
そんな姿を見られたくなくて、学校を休んだ。
学校を休むと、また周りとの差が開いた気がして、
もっとみじめになった。
そして、なおさら人前に出られなくなった。
こんなはずじゃなかったのに。
理想の自分と、現実の自分が、どんどん乖離していく。
明日になればなるだけ、それがもっとつらくなる。
学期末になると、先生が内申書を家に持ってきた。
いつも5が並んでいて、家族に見せるのが楽しみだった、内申書。
白紙だった。
テストを受けていない人に、成績は付けられないという理由で、
数字も何も、書いていなかった。
評価すらされない。
自分に一体何の価値があるのか、いつも不安だった。
もう、精一杯だった。
現実をなるべく見ないように、目をぎゅっとつぶっているだけで。
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