リレーコラムについて

人間あるある:いずれ死ぬ①

佐藤舞葉

「あるある」はレアケース―

昨日エントリー(サザエさんはなぜいつまでも高視聴率をたたきつづけられるのか?)
http://tcc.gr.jp/relay_column/show/id/3508
において、半ば逆説とも言える真実を紹介したところ、こんな感想をいただいた。

「あるあるはレアケース、という話は確かに興味深かったです。しかし、前半で「サザエさんの行動は荒唐無稽」としている話とつながらないのではないですか?だって「お魚加えたドラ猫を追いかける」経験なんて普通ゼロですよ。レアケースですらないじゃないですか。それを無理やりサザエさんとつなげてるから論理が破たんしているのに、それに気付いてない。バカ。ハゲ。脳みそ小鳥。」

率直に言おう。

す、すみません。

確かにお笑い芸人の「あるある」から得られる共感と、サザエさんの行動から得られる共感は別の種類のものだ。「あるある」のもたらす「笑い」と、サザエさんのもたらす「笑い」には明確な違いがある。

言いたかったことは、最後の志らくの一言に集約されるように、「共感」は決してリアリティから生まれるものではない、ということだ。
だからこそ、レアケースのあるあるネタに「こういうことあるある!」と深くうなずくことができるのである。

しかし、もしかするとこのコラムを読んでいるコピーライターの皆さまにとっては、
そんなこと既に知ってるわい常識中の常識だわい、だったかもしれない。

ダ・ヴィンチの人気連載「短歌ください」の中で(あるテーマに沿って読者から短歌を募集。歌人・穂村弘氏が講評するコーナー)「恋愛」というテーマに寄せられたある短歌について、穂村氏はこんなコメントを残している。

ロート胸、1月生まれ、汚れた血、共通点を見つけるたびに運命かもと思う
(くみ・女・33歳)

穂村氏)
「ロート胸、1月生まれ、汚れた血」の並びに詩を感じます。もしもこれが次のようだったらどうでしょう。

左利き、吹奏楽部、一人っ子、共通点を見つけるたびに運命かもと思う。

一般的であればあるほど、共感度は低くなる。しかし、万人に通ずる普遍性がなければ伝わらない。お笑い芸人も歌人もコピーライターも、きっとそのことを無意識に理解し言葉を紡いでいるのだろう。

本当に「よくあること」ではひとは共感できないし、「あるある」は成立しない。

しかし、だ。

最近この暗黙の了解とも言える真理を破り、
本当によくある「あるある」で「あるある」を成立させた男がいた。

「あるある原理主義者」、レイザーラモンRGである。

(つづく)

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