ペンギンをつかまえろ!

「ペンギンをだっこしたい！」

ゆかちゃんがこんなことをいいだした。

わたしが通ってた大学は、
コクリツの動物園と隣接しており、
金網にはおおきな穴が開いていて、
いつでも出入りできるのであった。

だが大学が美大だったことと、
やはり同じコクリツだったことから、
開園中は正面門から
堂々無料ではいることができたのだが、
だっことなると話は別である。

そしてゆかちゃんというこのむすめさんは
今でいう、いわゆる不思議少女で、
いつもハゲしく遠くを見つめていて、
気に入らないことがあると、
ひと月ふた月平気で行方不明になってしまう娘ですので
いうことは聞いときます。

で、暗くなるのをまって
決行ということになりましたが、その日になって
クラスの半分以上がこの不思議少女で
占められていたことをすっかりわすれていた私。
わたしもわたしもぺんぎんちゃんぺんぎんちゃんと
総勢が１３人へとふくらんでしまいました。

夜の動物園に忍び込むにはちょっとした
コツがあって、まずネコ科の動物に
かまわないこと、夜行性なので、昼間とは別物、
大声をだされて見つかるのがオチ。
そしてもし見つかったら二手に分かれて
逃げるように申し合わせておくこと、
たいてい見回りの人はひとりなので、
追いかける気をなくさせるようにの基本。

で、そんな連中だから
さっそく見つかってるわけですよ。
ペンギンのところまでいったら
やれさかなくさいだのぬるぬるしてるだのと
もたもたぎゃーぎゃーしてたのが原因です。

にげたにげた
一応ちゃんと二手に分かれたんで
いっときはうまいこと逃げられたんですが
見つかったときは根津の吉野屋２４でと
しといたのがまずかった。

僕らチームが先についていたんですが
早速お巡りさんがやってきた。
「おまえらＧ大生だな、動物園はいったろ。」
しらんしらんととぼけはいるが
牛丼屋でさかなくさいのは目立つことは目立つ。
それでもとぼけているところに
運悪く別班がガラガラと戸。
「いよーう、ちゃんとにげられた！？」

さいきん
わくわくしてますか？

変な文章でごめんなさい、
びだいなもので。