LONELIEST HIGHWAY
前回からの続き。
モハベ砂漠。
この一角に作られた巨大な空港には、
持ち主から捨てられた旅客機たちがストアされている。
アリゾナ・マラナと並ぶ、廃航空機の名所。
前回来たときには、コンベア990や、
映画「エグゼクティブ・ディシジョン」に登場した
架空のエアライン「OCEANIC」仕様の747を発見し、狂喜。
今回は、その東を廻り、DEATH VALLEYへ。
途中、砂漠の踏切で、
彼方まで続く貨物列車に引っかかる。
実に、ロンサムカーボーイ的情景。
午後7時。デス・バレー国立公園内にある
リゾートタイプのホテルに宿を取る。
「当方の温水プールをぜひ!」とにこやかなフロントのオヤジ。
残念ながら、それを味わう事無くベッドへ。
だって、今日は東京から来たんだぜ。
バッグに入っているのは、
スティーブンキングの双子作の中の一作、
「デスペレーション」。
ネバダのHIGHWAY50沿いの架空の街をめぐる物語。
地図を見る。
数百マイル北にHIGHWAY50がある。
「アメリカで最も寂しいハイウェイ」という文字。
ためらわず、北へ向かう。
HIGHWAY50は、火星の上を走っているよう。
死んだよう様な街で、チョリソー・ドッグを食う。
ネイティブ・アメリカンの隣に、クリスマスツリー。
そうだ、今日はイブだった。
火星の街でのクリスマスイブ。
小説に出てくる「鉱山の土累」は本当にそこにあった。
横に無人の街。
背中に寒気を感じ、ELYの街へ急ぐ。
ELYで泊まらずに、
距離を稼ごうと欲張ったのがまずかった。
漆黒の闇。1車線。そこに雪。
そして、そこに、突然、牛。
イブの夜に、死ぬところだった。
FORDのABSに命を救われた。
へろへろになりながらユタに入り、
一段と強くなった雪の中、
なんとかモーテルのある街へ。
街一軒のモーテル。
急な大雪で給湯器が壊れたのか、シャワーは水。
20世紀最後のイブに、なんで俺は一人、
大雪の中、水を浴びなきゃならんのか。
最高だ。
次回へ続く。
I fly, therefore I am.
岩井俊介
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