リレーコラムについて

NAVAHO HIGHWAY

岩井俊介

前回からの続き。

翌朝は、日食。
つぎにクリスマスの日に、アメリカで日食になるのは
400数十年後、とCNN。
有難いものをサングラス越しにちらちら見ながら、
雪道を東へ。

ZION国立公園を経由して、PAGEへ。
途中アリゾナ州境近くのルックアウトポイントから
LAKE POWELLを眺める。
ダムという人間の手が作った、神的風景。
あまりの奥行きの深さに、逆に書き割りのよう。
遠近感の喪失に、微かな恐怖感を覚える。

NAVAHO HIGHWAY EASTでカイエンタへ。
そこらのUSハイウェイよりよっぽど立派。
「思いやり予算」なのか?

給油。
再び降り始めた雪の中
痩せた老犬が寄ってくる。
すまん。
このクルマに食べるものは
リグレーのガムしかないんだ。

カイエンタのHOLIDAY INN泊。
スムースなチェックイン。会員証の威力。
会員様にはレストランのインディアンブレッド無料。
これが、超美味。

翌朝、モニュメントバレーの夜明けを観るため、
暗いうちに出発。
バレー内の未舗装道路で
TAURUSを4WD気分で乗り回す。
DRIVE AT YOUR OWN RISK.
いい言葉だ。
人生もまたしかり〈笑)。

FOUR CORNERへ。
4つの州が交わるところ。
記念碑以外は何もない。
風だけが吹いている場所。

コロラドに入る。
徐々に緑が増える。
ロッキーの裾野のワインディングをぶっとばす。
ミラーに目をやると
回転灯を点滅させたパトカー。
路肩に停める。
降りてきた警官が
ちょっとだけ銃に手をやり
確認するのは映画と同じ。

「右から抜いただろ」と、
まじめそうな田舎の警官。
「いやはや、すんません」と
ひたすら、あまり英語を解さない
日本人観光客を演じる。
無罪放免。厳重注意のみ。

片側3車線のダイナミックな峠越え。
箱根にあったら、走り屋の巣窟になるだろう。

雪が激しくなる。
USハイウェイはチェーンなしでは怖い。
インターステートに逃げる。
大雪のTRINIDAD泊。
せめて、BEST WESTERNにと思ったが、
DAYS INNしか見つからず。
仕方なく「アメリカのベスト殺風景モーテルチェーン」に入る。

次回へ続く。

I fly,therefore I am.
岩井俊介

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