NO HOT WATER IN KANSAS
前回からの続き。
翌朝。
フロントグラスは
ばりばりに結氷。
ロビーのトイレから
珈琲カップで何度もお湯を運ぶ。
部屋のCNNによると
アメリカは戦後最大の寒波。
電力ダウン。孤立した街。ハイウェイ閉鎖。
オクラホマとアーカンソーは
えらいことになっているらしい。
クリントンは非常事態宣言。
そりゃそうだ。彼の地元だから。
オクラホマからテキサス北へのルートを
急遽カンサス横断に変更。
それゆけ、大平原。
雪を避けるため、北へ回るのも
変な話だが。
ひたすら、気の遠くなるような直線。
もう一つの気の遠くなるような直線との交点に、
実におおざっぱにトラックステーションがある。
給油。
「中国人?」とおばちゃん。
「日本人。このあたりでは見たことないだろ」
「ないねえ〜」
夕方。まだ、直線。
クルーズコントロールは
100マイルに入れっぱなし。
と、またしてもパトカー。
「30マイルオーバーだよ」
本当は40マイル近くオーバーだ。
「トランクあけて」と警官。
ロスからマイアミに行くという、
NEW JERSEYプレートの日本人は、
カンザスの彼には不審らしい。
「不法なものは入れてないよね?」
ふと、他人が勝手にドラッグをトランクに入れていった
という小説を思いだす。
アメリカで初キップ。
WICHITAにたどり着く。
RESIDENCE INN BY MARRIOTTにチェックイン。
キッチンとマントルピース、オーブン、レンジ、食器まで完備の豪華版。
しかし、ユタに続いて、
またしてもお湯が出ない。
素っ裸で、フロントに電話。
飛んできたメンテのお兄ちゃん。
「すいませんねえ。隣の棟にどうぞ。」
服を着て、荷物まとめて、凄い格好で移動。
で、別の部屋のシャワーへ。
で、なんと、
これを3回繰り返す。
大寒波のせいか、
各部屋の給湯器軒並みダウン。
「こんなことunusualなもんで」
ひたすら謝るメンテ兄ちゃん。
こんなことがusualなら、このホテル、とっくにつぶれている。
「部屋代タダってことで、勘弁してください」
結局は家に帰っていた専門のメンテマンに
連絡をとってもらったところ、
「20分待てばお湯になる」とのこと。
マリオットよ。
暖炉もいいが、まともな給湯器を買いなさい。
次回に続く。
I fly, therefore I am.
岩井俊介
1445 | 2005.05.27 | 砂と青の旅 <砂漠の薔薇篇> |
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