詩の5
できないことを数える。
たぶんもうクルマが運転できない
囲碁ができない
将棋もできない
睡眠時間3時間でばりばり働けない
ピアノが弾けない
TEDみたいなプレゼンができない
親に感謝してるといえない
肉は食うのに牛は殺せない
さわやかな笑顔がつくれない
ほどけないひもの結び方がわからない
服の買い方が分からない
スポーツについて人と話せない
ギリシア語とかできない
いつまでも満足に英語ができない
おもしろいコラムが書けない
見返りをもとめないことができない
犬のように愛せない
ふとした思い付きで、できないことを数えてみて
あまりにすいすいリストが伸びるので驚く。
それでは、というので
できることを数えてみる。
ギターのFがおさえられる
近所のインド料理屋の店主のモノマネができる
…
なかなか伸びない。
ベンチプレスが50キロ上がらない
自己愛が捨てられない
マンガも捨てられない
マフラーも手袋も編めない
原発への意見をはっきり言えない
Eフラットメジャーセブンスと急にいわれてもおさえられない
友達100人はできない
美しいメロディをつむげない
カメムシが食べられない
三丁目の夕日は見られない
坂の上の雲も見られない
もう初恋ができない
できないことの多さを思えば
できることが少しだけ愛おしくなる
(共作:緑ファンタ)
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すみません。結局5回続けてしまいました…
次週はもうありません。ご安心ください。
次に私がバトンを渡すのは、株式会社17の松尾卓哉君です。
松尾君は電通の元同期なのですが、様々な海外賞の受賞、オグルビーへの転職、さらに大出世を経て独立…という、私なんかとは比較にならなないほど輝かしい経歴の持ち主です。しかしそれを可能にしたのは、彼が変わらず持ち続ける広告への思いの熱さにほかならないのではと思います。前回のコラムが2008年ですが、その後彼の人生はますます熱く劇的です。皆様お楽しみに。あ、あとうちの娘の誕生日が彼と同じで、解釈に困る縁を感じています。