リレーコラムについて

④「マーチェ!」

北田有一

※2012年、夏に書いたものです。

北田です。
今日もインドネシアにいます。

毎日どこに行っても、とにかく人が多いです。

しかも、日本との大きな違いは、
若い人が多いということ。
国全体が渋谷になった感じです。

それもそのはず、
インドネシアの人口の半分が
30歳以下です。

総人口は2億4千万人なので、
つまり、日本の人口1億2千万人が、
そのまま、30歳以下になった状態です。
今年、私は31歳なので、
この国の半分が年下、ということになります。

もちろん中国とは比べ物になりませんが、
それでも、こんなに若者がいたら、
広告代理店にとっては夢のような市場です。

そんなこともあるのでしょうか。
こちらの人たちは、みんなが楽しそうに働いています。
国民性として明るいということもありますが、
オフィスの中は、正直、
東京の何十倍も元気で活気があります。

朝から晩まで笑い声は耐えないし、
それぞれが自由にパソコンから音楽を流しているし、
(まさに今も誰かが大音量でAKBを聞いています)
突然、パーティーが始まったりします。週に2回くらい。

広告をつくる技術は、
まだまだ日本の方が発展しているところが多いですが、
「働くことを楽しむ」という能力は、
彼らから学ぶことはたくさんありそうです。

とはいえ、
もちろん、良いことばかりではありません。
逆の一面もあります。

みんながマイペースです。
例えば、打ち合わせの時間は、
1、2時間遅れて始まるのは普通です。
その日に始まればまだ良い方で、
延期や中止の連続です。
おそらく、彼らの中には、
午前と午後の区別くらいしかありません。

でもこれ、実は広告代理店のせいだけではありません。
クライアントも、こんな感じです。
いままでいくつかの競合プレゼンに参加しましたが、
最初に言われたプレゼン日が
最後まで守れたことは一度もありません。
2週間延期とか、3日早まるとか、ザラです。
4日後にプレしてくれ、と言われたのに、
返事が2週間たってもこないクライアントとか。

そして、こういう話を現地のCDと話していたら、
彼はこれを交通の話に例えて、説明してくれました。

「日本に行ったら電車が1分単位で動いていたと。
10時23分って書いてあったら、
10時23分ぴったりに電車がきたと。
それが当たり前の生活をしているよね?と。
でも、インドネシアには、
ちゃんとした電車や地下鉄がない。
唯一の公共交通機関であるバスも、
時刻表なんかないし、いつくるか分からないと。
しかも、いざバスが来ても、マーチェがひどい。」

マーチェ!というのは、渋滞のことです。

そうなんです。電車がないために、
朝から晩までマーチェです。
クルマも、バイクも、バスも、タクシーも、
マーチェは避けようがありません。
クルマで30分のところに住んでいても、
家まで帰るのに平気で2時間くらいかかるそうです。

ここまでくると性格の問題ではなくて、
システムの問題ですね。

でも、まともな政治家が何人かいれば、
一発で変えられることだったりします。
もしも、この国に電車や地下鉄ができて、
2億4千万人が時間通りに行動し始めたら。
すごいことになりそうです。

でも、それまでの間は、遅刻しそうになったら、
「マーチェ!」という言葉で乗り越えようと思います。

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