リレーコラムについて

(株)女子道路工事現場部

坂本和加

むかし、道路工事現場で働いていました。
ちょっと変わっていたのは、現場にいるのが全員女子だったこと。
まあそういうのを、売りにしていたんでしょうね。

主な仕事は、道路を掘ってまた埋める、
ことばにすると非常に簡単そうな仕事なのですが、
とにかく遅々として仕事の進まない現場でした。
なにせ全員女子なので。

朝はたいてい、
昨日見たドラマか、ドラマのなかった日は
誰のヘルメットが激しくクサイか、という話からはじまり、
現場に行ったら行ったで、
「きゃー、きたなーい!」
「これ、くさーい」「いやーん、ネイルがはげちゃう〜」だの、
「あーん、もうかえりたーい」とか聞こえてきます。
まだ1時間しかたっていません・・・。
そのわりにはみんな、それなりに楽しそうなので不思議でした。

先輩のKちゃんは、
ダンパ(ドドドドドドって地面をならすやつ)担当で、
いつもなにかを試そうとしていました。
その「なにか」をいつもていねいに説明してくれるんですが、
最後まで言ってることがよくわかりませんでした。

またある日は、Mさんが
わざわざカラーコピーして自分の足を引き延ばし、切り抜きまでして、
振動ローラ(アスファルトを平にするやつ)の下から
「にょーん」と出したので、現場が騒然となりました。
わたしは、足がつぶれるとほんとに紙みたいになる! と、思い込みそうでした。

現場監督のH美さんは明るい方で、
「マジうける〜」といつも言ってました。

夏の現場では、おやつの時間があり、みんなで塩を食べました。
つけもの塩から、ヒマラヤ岩塩、ゲシュタルトの塩まで、
あまりひとには言ってないのですが、もうひとつのわらじ、
塩ソムリエでがんばれているのも、ここでの経験のおかげです。

ほんとうに、なつかしい日々です。

ところでわたしの主な仕事は、トンボでした。
あの学校の校庭にあるあのトンボとおなじで、
アスファルトをならすときの「仮ならし」ですね。
すごいつまんなかったです。
せっかくなら、もっと世の中の役に立ってる感のあふれる何かをやりたかった。
特にユンボ(まず最初に道路を砕いたりする重機)がやりたかった。

いまでも工事現場を通りすがると、
きつかったけど楽しかった当時のことが思い出されます。

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