リレーコラムについて

コピーは戦略だ。を本当に理解するには時間がかかる。

佐藤朝子

33歳の彼女は今日もコピーを写経している it’s only my time.
こんがらがってた頭の中の霧が晴れてくit’s only my time.
〜斉藤和義『アゲハ』(一部改ざん)〜

さて。
そんなアゲハな日々を過ごす中で得たのは、原点回帰ともいえる感情でした。

広告って、こんな面白かったんや。

10年以上やって今更そんな事言うとは恥ずかしくないのか、
とお思いでしょう。ごもっともです。
でも、ここで己を恥じて語るのをやめてしまうと、
残りの3日間書く事がなくなるばかりか、
昨日まで書いてた内容も削除してあー恥ずかしい私ったら何アツい感じで
語ってんのもう死ねばいいのにってなるので、
マイナスの感情には勇気を持って蓋をし、ドヤ顔で語り続けたいと思います。

コピー年鑑を開き、広告とちゃんと向き合う事で、
広告の奥深さを、改めて、ちゃんと感じる事ができたのです。
今までは、わりと色んな広告に批判的でした。
他の人が作った広告に興味が無いフリしたり、
TCCについての話題を避けたり、
そんな感じでした。
でも今回、
広告って、面白いんだな。
素直にそう感じたのです。

これは、単純に最近あまりコピーに触れていなかったせい、
というのももちろんありますが、それ以上に、
年次を重ね、知識と経験を持った上でコピーに触れる事で、
ひとつひとつのコトバの「何がすごいか」が分かるようになった
という事が大きいと思うのです。
コピーを見て、逆算してオリエンを想像し、企画書を想像する。
なるほど、このコピーはこういう戦略で生まれた言葉なんだな。
と理解する。
「コピーは戦略だ」とよく言われますが、
その意味を、広告やりはじめのペーペーした時期に
理解するのはとても難しいことです。
若い頃はやっぱり私もコピーは「表現」だと思っていました。
でも、今ならわかります。
コピーは表現の皮をかぶった戦略なのです。
その頭でコピー年鑑を見た時、そこに並ぶコピー達が、
なんと真摯に「売り」「ブランディング」「生活者の意識変容」に
向き合っているかが分かり、
もう目からウロコ、ポロポロリンだったわけです。
そしてコピーの書き方や広告についての多くの指南書も、
昔読んだ時感じた「分かった」と、
このタイミングで読み直して感じた「分かった」は、
もう深さが全然違うわけです。
中でも、
谷山雅計さんの「広告ってこう書くんだ!読本」
岡本欣也さんの『「売り言葉」とか「買い言葉」心を動かすコピーの発想』
そして仲畑貴志さんの「みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。」
あたりはもう埋蔵金ざっくざくでした。
あとネットで見たビル・バーンバックの言葉集もステキでした。
こういう核の部分を教えてくれる本は、
若い頃だけじゃなく年次が上がってから読んでも発見があります。
ミドルエイジのみなさんも、本棚に眠っている
広告本、機会があればぜひ読み返してみて下さい。

で。
こうして色々、理論習得と事例分析を重ねると、
やっぱり実践したくなるわけです。
さいわい、赤ん坊はおおらかな性格で
私以外の人に抱かれても機嫌が良い。
しかも、乳がマズいのか、粉ミルクを好むようになって
おっぱいを飲まなくなったところ。
・・・いける。
そう思った私は育休を途中で切り上げ、
次女が6ヶ月になったタイミングで会社に復帰したのでした。

つづく。

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