リレーコラムについて

はじめまして。佐久間の姉です。

佐久間英彰

ここずっとしんみりした事ばかり書いてきたので
今回は、文体を変え、中身もカラッとしたのを送ります。

うちの姉はかなりエキセントリックであり行動派だ。

正直、姉に比べたら、発明好きの私と言えど
まだまだ保守派だと思う。

これは最近の話だ。

姉「英彰。あんた、名前変えへん?」

姉からこんな電話が来た。
…しばらく、理解できなかった。

私「は?どゆこと?」
姉「ほら、私、昔っから自分の名前が嫌いで、
  ずっと変えたい変えたいって言ってたでしょ~。」

私「あ〜確かに。小さい頃、そう言ってたね。」
姉「芸能人も変えるしね。黒沢年雄とか。」

私「例えが渋いね。でもそれは芸能人であってね…」
姉「でな、私、変えてみたんよ。」

私「え?」
姉「雅子から麻彩子って名前になるわ。」

あぁ、ついに姉が変な宗教にはまってしまった(´Д` )
もしくはなんとか数子に傾倒したか…
と思ったのだが、そういう訳でもなく、
ただ単に小さい頃からの願いを叶えたという事らしい。
後で調べると、こういうケースは何気にあるみたいだ。
でもまさか身内がやるとは思ってもなかった。

私「あぁ、雅子から麻彩子。漢字だけ変えるのね。」
姉「そういう事。これだと結婚できる名前らしい。」

補足すると、
姉は店を継がない私の代わりにずっと店の手伝いをしてて、
親と同じ生活リズムゆえに、新しい出会いがないみたいだ。
これに関しては申し訳なく、頭が上がらない。。。

私「なるほど。それは結婚してほしいね。」
姉「おばあちゃんも、何度も改名していたらしいよ。」

うちの家系の女性はどうしてこうも革新派が多いのか…

私「そうなんだ」
姉「でな、あんたも変えてみたら?」

私「え?」
姉「あんたこのままやとパッとせんし結婚できんらしいで」

私「う?」
姉「でな英彰、名前考えたけど、あんたは「啓彰」」

私「え?ひ・ろ・あ・き?何で「ひであき」と違うん?」
姉「あ〜でも、ほら舌を奥に巻いて発音すると
  何気に「ひであき」に聞こえるよ!(笑)」

私「うん、確かに聞こえる。」
姉「ほらな。」

いやまて、相手のペースにはまってはいけない。
とりあえず正気に戻った。

私「でも、お父さんとお母さんは黙っとらんやろ。」
姉「あぁ、二人とも変えるで。」

私「え〜?え〜!!!??」
姉「お父さんは、なんか全国的に名前が出るらしくて。
  お母さんは、健康になれるって。」

(俺のいない間に、実家はどうなったんだ???
 姉の交渉能力だけは、どの代理店マンもお手上げだろう)

私「まじ?」
姉「二人とも私と同じで、呼び方は一緒やけどな。」

私「何で俺だけ、呼び方が違うんな。」
姉「あんたのは画数が良くないんやって。
  それにハマる字がなかった。」

私「ふむ」

妙に納得してしまった。

そういう謎なやり取りをしてた時、
そういえば中学の時にこういう事があったのを思い出した。

………

家にある鏡台をいじっていたら引出しから桐箱を見つけた。
箱の中から綿にくるまれた私のひからびた「へその緒」が。
そしてさらに奥に、ボロボロの二通の封筒が見つかった。

ひとつ目には、自分の名前「英彰」が筆で書かれていた。

「あぁ命名の時に、姓名判断の人に相談した奴ね。」
と、すぐに気づいた。

コメントを読むと、どうやら私の名前は、
若年期・中年期と、これと言って良くもなく、
晩年期に運気が急上昇するのだそうだ。
いわゆる超大器晩成型らしい。
60歳以降に成り上がっても何の喜びもないのだが…。
できれば若い頃に活躍したい。
なので、親がこの名前を選んだのはいささか不満だった。

で、次は何だろうと思って二通目の封筒を見ると、
そこには「信行」と名が。物理の先生と一緒の名前だった。
しかもこっちは若・中・晩年期、全てに普通な人生。
親が考えた二つの名前を姓名判断の人に見てもらって
「英彰」の方を親が選んだ、という事だ。
「信行」でなくよかった。ってか他になかったのか?親よ。

………

という、思い出すのも辛い事があったのを、思い出した。

そういう事もあり、
私も姉と同じく、自分の名前が好きではなかった。

しかしその嫌いな名前を本当に姉は変えようとしている。
ずっとつき合っていくという発想ではなく。

なんという行動力。バイタリティ。
私には1mmたりともそういう発想はなかった。

私「ちなみに「啓彰」だとどうなるん?」
姉「若くして成功するってさ。あと結婚できるらしい。」

私「もう若くないし。。。
  大器晩成型で、せっかく今まで我慢してきたのに。」
姉「うん。後半より前半がいいみたい。」

私「変えたとしても、すぐ下り坂やん。」
姉「でも変えたらすぐ運気が上がるかもよ。」

私「やだよ。」

即答で断った。

そして後日、家族にこういう感じのメールを送った。

「お父さん、お母さん。
 自分はお二人が一生懸命考えてくれた名前に
 誇りを思っています。
 なので名前を変えるつもりはありません。
 確かに小さい頃は自分の名前は嫌いでした。
 でも、今はまんざらでもないと思っています。
 名前を付けるという行為は素晴らしいコピーライティング。
 コピーライターの端くれとして、誇りと責任を持ちたい。
 それに自分の人生がうまく行かなかったからと言って
 名前のせいにしたくはありません。
 英彰は二人が一生懸命考えて決めてくれた名前。
 一生つき合っていく覚悟ですし、
 二人は素晴らしいコピーライターだと思います。」

という保守バリバリのメールを送った記憶がある。
今、これだけ読むとかなり謎なメールの内容だが、
当時は「言ったった!」「決まった!」と思っていた。

そんなこんなで以後姉は、堂々と違う名前で生活しはじめ、
私は私で名前を変えるという事すら忘れて、今に至る、、、

のだが,実は話はここでは終わらない。

なんと姉は、来週結婚するらしい。
(ちなみに40歳を超えての女性の結婚率はわずか0.5%。
(国勢調査調べ))

奇跡だ。

しかも、父は先日もお伝えした通り「旭日双光章」を貰い
安倍総理から賞状を貰い、天皇陛下に拝謁できた。

母は、手術の術後が良くなったそうだ。

何なんだ、姉の引きの強さは…。昔からこうだ。

そういえば、
コピーライターとして「ネーミングは大切」とは言ったが、
確か「フレッシュライフ」を「通勤快足」にしてバカ売れ、
伊藤園は「缶煎茶」を「お〜いお茶」、
サントリーは「WEST」 を「BOSS」にした途端、
ロングセラーに…。名前を変えるのも一理あるのかも…

というわけで、いつか私が「啓彰」を使い始めたら
姉の軍門に下ったと思ってください。

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