食欲の怖さ
ちょうど3ヶ月前に、息子が生まれました。
出産予定日まで1週間。
翌日に控えたプレゼンの準備中、
実家に帰省していた妻から一本の電話がありました。
「破水したみたい…。」
いざ言われると、めちゃくちゃ動揺するものです。
出産の際は、すぐに言ってほしい。
そうチームから言われていたので、お伝えすると、
「こっちは心配しなくていいから、すぐに奥さんの元へと行け!」と。
CDや先輩たち、営業のみなさんの優しさに泣きそうになりながらも、
僕は荷物をまとめ、会社のある田町から品川へ。
そして、新幹線で豊橋に向かいました。
病院についたのは、夜10時過ぎ。
お医者さんからの説明では、
促進剤がまだ効いていないので、明日の朝になるんじゃないかと。
翌日、僕は朝から病院に向かいました。
徐々に陣痛が強くなり、辛そうな妻。
僕はただウチワであおぐことしかできません。
そのとき、病室に妻の昼食が運ばれてきたのです。
もちろん食べられる状況ではありません。
「いらないみたいです。」
そう看護婦さんに伝えると、
「捨てることになるから、旦那さん食べてください。」と。
「いや、(いま大変だから)大丈夫です。」そう言っても、
「もったいないですから。食べてください。」
「博司さん、食べてください。」お義母さんも加勢です。
「あっちに、休憩室があるので。」
「…あ、はい。」
僕は、看護婦さんに勧められるまま、
トレーを休憩室に運び、ごはんを食べ始めました。
そして、このとき、なぜか僕は食べ合わせを考えながら、
ゆっくりと味わってしまったのです。
10数分後…。
お義母さんが走ってこられました。
「分娩室に移動した…。何度も電話したんだけど…」
僕は、ごはんに夢中で着信の存在に気がつかなかったのです。
急いで分娩室へ走りました。口にごはんを入れたまま…。
もちろん中に入れる訳もなく、扉の前で立ち尽くす僕。
数分後。
無事、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。
ごはんに夢中で、立ち会いを逃す。
後日、怒られたことは言うまでもありません。
みなさん、はじめまして。
佐久間さんからバトンを引き継ぎました、
TBWA\HAKUHODOの山﨑博司です。
2010年に博報堂に入社。
2013年10月からTBWA\HAKUHODOへ出向し、
今年、最高新人賞を頂きました。
つたないコラムで恐縮ですが、一週間、よろしくお願いします!
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