リレーコラムについて

「はっ!とさせられた言葉たち」

新志康介

TCCリレーコラムをご覧のみなさま、こんにちは。
今年新人賞をいただいた
電通中部支社の新志康介(しんしこうすけ)と申します。
先週のことはが、えらくタメになるライオンの穫りかたなんて書くもんだから
やりづらくって仕方がないです。
私のコラムは、タメになることなんかないと思いますので、
もしお暇ならお読みください。
よろしくお願いします。

TCCということで、なんとなく言葉をテーマにコラムしてみようと思います。

題して、
「はっ!とさせられた言葉たち」

私の出身地は大分市です。市内の出身とはいえ、結構な田舎で育ちました。
どのくらい田舎かというと、

●幼少期のときは民放テレビ局が、たったの2局しかありませんでした。
●「笑って、いいとも!」は夕方の5時からやっていました。
(なので小学生のころの僕は「♪お昼休みはウキウキウォッチ」…はて?って
感じです)
●「とんねるずのみなさんのおかげです」も日曜朝10時からやってました。
大分では、日曜の朝から貴さんが
「おならじゃないのよ、おならじゃないのよ、空気が入っただけ!」
と言っていたわけです。
いま思うと、なんて攻撃的な放送スケジュールなんでしょう。
今年のワールドカップ日本代表が手本にしたほうがいいくらいのアグレッシブさです。

こんな田舎で育ったものですから、18歳で初めて県外に出て、
東京の大学に入学した私はごくごく平凡すぎる人間でした。
視野も狭く、画一的なものの考え方しかできなかった私に、
視点の大切さを教えてくれたのは大学の友人たちでした。

大学1年の最初の試験でそれは起きました。
科目は、必修の経済原論。(法学部政治学科ですが必修だったのです)
友人のノートを大量にコピーし、必死の一夜漬けで試験に臨む私は、
びびりまくってキーワードを机にメモったりしていました。

そうしたところ、友人のKくんが教室の白い壁に
なにやら落書きしているのです。
Kくんはなかなか変わった人なのですが、語学がとても堪能でした。
海外留学の経験などないのに、簡単な日常会話なら5〜6カ国語くらい
話せる男でした。

そんなKくんが落書きしていたもの。
それは、まさに数分後に試験が始まろうとする経済原論ではなく、
ハングル語でした。

私:「壁になに書いてんの?次のテスト、経済原論だよ」
K:「うん。だからテストにでそうなとこ、書いてるんだよ」
私:「え!?」
K:「日本語だとバレるでしょ、だからハングルで書いてんだよ」

なんとKくんは、経済原論のキーワードから図式まで
ハングル語で壁に書いていたのです。

「日本語だとバレるでしょ、だからハングルで書いてんだよ」
その言葉の衝撃はいまでも忘れられません。
あまりに高度なカンニング、そう思いました。
同時に狭い視野しかもたない田舎者の私は、
彼のような人と違う視点や考え方ができる人間になりたい、
と思ったのです。

このエピソードが広告制作者を目指すきっかけになったかはわかりませんが、
ものごとを多角的に見る重要性を痛感したエピソードでした。

ちなみに、Kくんのカンニングはあまりにレアで、
(いままで壁にハングルの落書きなんてなかったものですから)
逆に有名になってしまいました。

コラムなんて書いたことないので、つたない文章力ですみません。
あと数日お付き合いいただければ幸いです。

では、今日はこのへんで。

NO
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