リレーコラムについて

コピーvsジブン ~一生忘れられぬ一冊に関われたぞ篇~

和田佳菜子

「コピー1本で勝負できる職人になりたい。」
この時代にそんなことを言ってみると、
コミュニケーションデザインという言葉だったり、
海外賞で称賛されるノンバーバルな事例だったりを挙げて
「そんな考えは古い」という顔をされがちです。
自分自身、その考えはすごく理解できるのですが、
「結婚して子育てして働きつづける」という
ライフプランを前提に将来をイメージし続けてきたので、
同業の男性のバリバリ具合に比べるとやっぱりどこか
時間的な制限のある広告制作者となってゆくことを
覚悟しているのも事実です。
だったら、世界をターゲットに手広く構えて半端になるよりは、
日本人相手の武器をひとつとにかく鋭利に磨いて戦うほうがいい、
なんて考えてしまって。だから海外賞とかも興味の範囲外で。

けれど、みなさんご存知の通り、
ここ数年の電通中部の海外賞での活躍は無視できない熱さで、
何とこんな自分まで
海外賞を意識した仕事に入ることになりました。
それが「葵鐘会」の「MOTHER BOOK」チームでした。
結果としてはあのブックが仕上がることになるのですが、
打合せの過程では妊婦のための広告活動として
ありとあらゆるアイデアをみんなで持ち寄る日々。
わたしは当時、不妊治療で産婦人科に通っていたので
妊婦を目の当たりにすることも多く、
わりと身近なこととして企画を考えておりました。
まあ、そういう視点が
作品に影響を与えたのかは分かりませんが、とにかく、
土橋さんや田中ことはを中心に素晴らしい才能が結集し、
数々の海外賞を獲得する最高の一冊が出来上がりました。
冒頭に書いた葛藤めいた考えをスパンッと吹き飛ばし、
純粋にこういう仕事もイイもんだなぁ!!
と思わせて下さったチームのみんなに大感謝です。
そして、海外から受賞のビッグニュースが流れ込みはじめた
今年の春先に、念願だった自分の妊娠が発覚。
「MOTHER BOOK」を実際に使えるしあわせに震えました。
本当に、一生忘れられない感慨深い仕事です。
(コピーという観点で言うと、妊婦になってから、
自分が手掛けた実際の妊婦向けの「お手紙」を再読したときに、
違和感を覚えなかったことにホッとしました!)

以上で、わたしのコラムは終わりです。
改めて振り返ってみると20代のコピー戦歴は、
大勢の先輩方に支えられていたことをつくづく実感します。
まだまだ、これからの若輩者ではありますが、
産休・育休前のひと区切りとしては、とりあえず自分幸せだなと。

そしてそして、次にバトンを渡すお相手ですが、
(本日午後から夏休みのため1日早くてすみません!)
この方にもかつて大変お世話になりました。
コラムの第2回でお名前を出させて頂いたAD本多集さんです!!
ADでありながらTCC会員でもある部長(スキンヘッド)が
きっと為になるお話をたくさんしてくれることと思います。
本多さん、よろしくお願いしますね~!!!

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