リレーコラムについて

筆がのってきた頃に終わるって、脂がのってきたら釣られる秋刀魚の気持ち

橋爪敬子

わたしはかつ舌が悪くてよく人に聞き間違いをされる。

「こうへい、手帳もってる?」ときいたら
「肥溜めに蝶が舞ってる?」と驚かれた。

しかし、どことなく牧歌的で優美な情景が目に浮かびませんか。

「こないだ五反田いったんだ」と話しはじめたら
「ふーんサウナ?」と。

五反田いったんだ、が
五反田熱帯夜と聞こえたらしい。
そんなサウナへは行かないし、行ったなら「五反田熱帯夜、行ったんだ」っていうし。

過酷なロケで立ちっぱなしで
「ふくらはぎ、痛いことありませんか?」とプロデューサーにいったら
「プラハに行かれたんですか?」と。
この状況でなに悠長なこと言ってるんだろうとおもったら

ふくらはぎ、痛いことありませんか?が
ハンガリーに行ったことありますか?と聞こえたらしい。
この状況でなに悠長なこと言ってんだ、とわたしがおもわれていたに違いない。

人気のピッツェリアでは生地を一生懸命にうっている女性に帰りしな
「手が腱鞘炎になってしまいそうですね」といったら
「どうぞ、一生通って下さい」と頬を赤らめて言われた。
けんしょうえんになってしまいそう、が
いっしょう通ってしまいそうと聞こえたそうです。

嘘みたいと思った方、声にして発音してみてくださいな。

そうそ、かつ舌だけでなく、目もわるい。

先日、とても見晴らしのよい場所で撮影していて
「あ、スカイツリーだ」とちょっとうかれて見ていたら
営業部長が真後ろを指さすので、振り返ったらスカイツリーがそびえたっていた。
「じゃあ、あれは?」
毎日みている東京タワーに気持ちを弾ませていたとは。
とんだ見晴らしマジック。

次にバトンを渡す福田宏幸さんと他の福田さんを読み間違えて
他の福田さんがわざわざ映画に誘ってくださったメールに
「福ちゃん、その映画はあまり興味ないよー」
みたいな全く間違えたノリで返信してしまった。
はい!モテ自慢おわり。

というわけで、来週は福田宏幸さんです。
亡き田井中さんと三人で試写会の映画を観たのが懐かしいです。
映画には岸部一徳さんがでてきて、ふと隣をみたら田井中さん。
似てるー!と内心おもったら、さらにその隣の福田くん。
似てるー!!と。
内心、そこが映画のクライマックスでした。

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