博識でなくても
電通のコミュニケーションデザインセンター長である
古川さんは、かなりの博識だ。
その証拠に、アドタイに連載された古川さんのコラムの紹介には、
「さまざまな名作映画、音楽、小説を手がかりに、
広告クリエーティブの仕組みや考え方をつづって」
と書かれている。
(http://www.advertimes.com/20140120/article143291/)
しかし、今日は、
コラムは、博識であるほうがよいが、
コピーは、必ずしもそうでなくてもやっていける
という話なのである。
例えば、先ほどの古川さんのコラムの冒頭は、
「アルコール中毒の定義について、丸谷才一がこんな説を紹介している」
という一文から始まる。
しかし、広告のボディコピーで、こんなことを書いたら怒られる。
「アルコール中毒の定義について、丸谷才一がこんな説を紹介している。
(中略)
そんな、中毒になるぐらい勉強が好きになる塾です。○○塾」
確かに、これはいけない。
アルコール中毒のことを知らなかったせいで、
こんな失敗をしなくてよかったとさえ言えるだろう。
そして、そのコラムは、セックス中毒のくだりへと続く。
「有名人の中で最初の患者とされたのは、
マイケル・ダグラスだったと記憶している」
この知識も、雑談力を上げるという点では役に立つが、
ことボディーコピーを書くという点においては、必要ない。
なぜなら、マイケル・ダグラスという名前をあなたが軽い気持ちで
書いたせいで、おそらく億を超える契約料を払う羽目になり、
英語の交渉も大変だからである。
やはり、この知識も、必要ないということがわかる。
さらに、これはどうだろう?
「ショパンのコンチェルトに完璧な音を出すために、
自分でオーケストラをつくってしまったピアニスト、
クリスチャン・ツィメルマン」
ショパンは没後50年以上たっているので、
肖像権に関してはクリアできるかもしれない。
子孫や財団に肖像権を主張されたらアウトであるが、
仮にそれがOKだったとしよう。しかし、残念なことに、
通常、クライアントは、
「ここに3行も使うより、うちの塾の特徴を書いてください」
と穏やかな口調で言いながら、目は笑っていないだろう。
ボディコピーには、いかに博識を生かすチャンスのないことか。
という訳で、
コラムは、博識であるほうがよいが、
コピーは、必ずしもそうでなくてもやっていける
という話でした。
ちなみに、
先ほどの古川さんのコラムは、本当に素晴らしいです。
神レベルです。
さて。
リレーコラムは3回目のバトンでしたが、
初めて5日とも、ちゃんと書くことができて、
ほっとしています。
来週は、一緒に仕事をしている、
加藤充彦さんにお願いしました。
よろしくお願いします。