♪ 昔 隣のおしゃれなおねえさんは
♪昔 隣のおしゃれなおねえさんは
ク リスマスの日 私に云った
今夜 8時なれば サンタが家にやってくる♪
少女の家にサンタがやってきたのは
5才の時の1回だけ。
置いていったプレゼントは
ベルト部分が替えられる、赤い腕時計だった。
冷たい風とともにクリスマスソングが流れ始める頃、
ユニー(近所のスーパー)で、
サンタと触れあうイベントがあった。
1人ずつ
サンタの膝に乗せてもらいながら、
お話ができるというものだ。
会いにいけるサンタ。
しかも、写真も撮ってもらえる。
子どもの基礎知識として、
サンタは普段、遠い国に住んでいて
子どもたちのプレゼントを作り、
クリスマスになったら
それをソリに乗せて配りに来てくれる
と言う事は知っていた。
でも、聞きたい事はたくさんある。
いくつのプレゼントが袋に入っているのか?とか
欲しい物が何で分かるのか?とか
何の話をしようか、ドキドキしながら待つ。
いよいよ順番がきて、
膝に座り、
いざ質問!という所で
少女は、あの白いモサモサのヒゲに目を奪われた。
初めての白いヒゲ。
父親のジョリジョリヒゲしか
見たことのない少女にとっては、未知との遭遇。
ふわふわして、綿菓子みたい。
止まらない好奇心。
ちょっと手を伸ばす。
ヒゲを触ろうと思ったのだ。
しかし、
想定内ではあるが予想外の事が起こる。
触ろうとしたら、ヒゲが取れたのだ。
ジョリジョリが見える。
あ、お父さんと一緒だ。
ざわつく大人たち。
あれ、私なんか悪い事したのかな?
と思ったのもつかの間
慌てて、白ヒゲをつけ、ジョリジョリを隠すサンタ。
そして、一言。
「悪い事する子は、クリスマスプレゼントあげないよ~!」
冗談っぽく言ってはいたものの
子どもとは繊細な生き物で、
ヒゲに触っただけで、プレゼントをくれないなんて!
なんて意地悪な人なんだ。
顔もヒゲで隠してるし、怪しい。
このおじさんは、いい人ではない。
と決めつけ、心を閉ざした。
しかし、
また想定内ではあるが、少女にとっては予想外の事が起こる。
1週間後のクリスマスの朝、
枕元にプレゼントがあったのだ!
諦めていた分、もらえたのが嬉しかった。
実は、サンタさんはいい人なんだ。
悪い人だと思っていてごめんなさい、
と心の中で謝った。
それよりも、
やっぱり、私イイ子だったよね!
と思った方が強かったのかもしれない。
もし、
大人にも1年間、悪い事をせず、イイ子にした人にだけ
プレゼントをあげる制度があったら、
どのくらいの人が、プレゼントを手にするのだろうか。
(つづく)
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