食べかけのバームクーヘン
いつも目がきらきらしていてすてきな竹田さんから
同じ名前ということでバトンをいただきました、
武田さとみと申します。
電通でコピーライターをしております。
ことし、東京ガスさんの「まほちゃんの作戦」という
クリスマスCMで新人賞をいただきました。
学生のころから竹田さんのお名前は知っていて、
「コピーライターのたけださんだ!いいなあ!」と思っていたので、
いまこうしてバトンを渡していただけること、
仲良くしていただけることが本当にありがたいなあと、
しみじみする今日この頃です。
1週間、場をいただいたということで、
いままで気になっていたけれどだれに話すまでもなかった
モヤモヤを書いていこうと思っています。
よろしくおねがいします。
箱に入れられたお菓子によくついている、
じゃばらにたたまれた説明書きを読むのが好きです。
◯△本舗の歴史とか、
お菓子をつくった職人の思いとか、
19✕✕年当時の東京の様子とか、
お菓子をおいしく食べられることが書いてあるからです。
とくに安倍川餅の説明書きは、なかなか渋くてお気に入りです。
そんな安倍川餅とはまったく関係がないのですが、
先日、食卓にバームクーヘンがおいてありました。
すでに家族のだれかによって
ちょっと食べられていたバームクーヘンを、
わたしも自分が食べる分だけ切り分けます。
おいしかったので、もう1回、切り分けました。
これがよくありませんでした。
切り分けて、一口食べた瞬間、
ワンテンポ遅い満腹中枢が反応し、
「もう、お腹いっぱいだ…」となってしまいました。
切り分けなきゃよかった。
切り分けて、
しかもフォークを中途半端につけちゃったものだから、
食べかけのバームクーヘンは、
「なんだかもう取っておくわけにはいかない腐っていくもの」
にしか見えなくなってしまいました。
切り分けられず、大きい方にくっついていれば、
こんな目に遭わなくてすんだのに…。
「ペットボトルに一度口をつけると、
とんでもない数の雑菌が繁殖するから、
前日飲んだのを翌日飲んだらよくないよ」
という話をどこかで聞いてから、
人間にとって、
何かを摂取する行為は、
何かを腐らせようとする行為とほぼ同義なんだなあ…
と思うようになってしまったので、
もう食べかけのバームクーヘンは刻一刻と目の前で腐っていくように見えます。
腐っていくようにしか見えません。
もともと、ひとつのバームクーヘンなのに。
フォークにあたった部分だけまた切り分ければ、
それ以外のバームクーヘンはまた生き返るのでしょうか。
というかバームクーヘンは死んだのでしょうか。
そもそも層でつながっているから、
「腐る流れ」みたいなものは伝わっていったりしちゃうんでしょうか。
バームクーヘンは一体、どこまでがバームクーヘンなのでしょうか。
食べかけのバームクーヘンを前にしながら、
2分前の己の軽薄な切断に対するむなしさとモヤモヤで、
お腹も気持ちもいっぱいになった昼下がりでした。
なんだか、初回から雑菌とか腐るとか、
そんなことばかり書いてしまいました。
もっと楽しくてかわいいことを書くつもりでした…
おかしい…
口直しに、バームクーヘンって、
斜めに切るのがおいしく食べるコツなんだそうです。
そのほうが、層の食感が出ておいしいんだとか。
途中からななめに切るとどうしても台形な部分ができて、
きゅうりやにんじんを切り始めるときにも感じる
「全部を斜めにはできない」という新たなモヤモヤが生まれましたが、
たしかにちょっとおいしくなった気がしました。
というわけでバームクーヘンを手に入れたら、
最初から斜めに切り始めることをおすすめします!
ありがとうございました。
それでは、また明日。
たけださとみ
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