リレーコラムについて

I’m sorry!

関一行

ここ5〜6年、頻繁に海外ロケに行くようになった。
延べにすると2ヶ月に1度。主にヨーロッパ、そして太平洋、アジア圏の南国、
たまにアメリカ、オセアニアといったところ。昨年などは元旦からローマに出
発。計8回を数えた。
おかげさまでJALのステイタスはダイヤモンドになり、出発前に立ち寄る成田
空港の寿司屋は馴染みになった。
バブルでもなし、国内の広告を作っているというのに、今どきの代理店のクリ
エイティブとしては珍しいし、羨ましいと言われるが、仕事は仕事ですからね。

ただ、それぞれのお国柄、国民性の違いというものを肌で感じられるのは実に
楽しい。
この違いに関して以前、メルセデスのあるドイツ人の方から面白い話を伺った
ことがある。この方は世界中の様々な国の広告会社からプレゼンを受ける立場
の方で、その方が言うに、プレゼンの冒頭(ツカミ)にそれぞれのお国柄が顕
著に出るとのこと。

まず、アメリカ人の場合。
彼らは決まってジョークから入る。まず笑わせてからでないとプレゼンが乗ら
ないらしい。

対照的にイギリス人は、
皮肉から入るという。まずチクリとやらないと気が済まない。

ドイツ人はというと、
「かのゲーテは言いました」的な歴史上の偉人たちの言葉を拝借して始めるの
がパターンらしい。

イタリア人は、
クライアントに女性を見つけるやいなや、その女性を褒めたり、口説いたり、
散々いじってから始まる。
さすが世界のヤリチン。

では、日本人は?
やはり始まりにパターンがあるらしい。何?
日本人の場合は、まず、

「スミマセン。」

謝罪から入る。「何も悪いことしていないのに、まずI’m sorry。日本人は、なん
と謝ってから始めるんだよ。そんな国は日本の他にないよ。」とその方は笑って
いた。

言われてみれば、そうかもしれない。確かに欧米人から見たら奇異に映るだろう。
欧米人、特にアメリカ人は謝らない。それは過失を認めることになり、裁判など
では確実に不利になる。
それがもはやグローバルスタンダード。僕も血の気が多かった若い頃は、なるほ
どその通りと思っていた時期もあった。

だが、今はそうではない。
いいじゃんか、まずスミマセン。これが日本人の謙譲の美徳よ!
米国の謝らない文化が何を生んだというんだ。軋轢だけじゃんか。そんなに勝ち
たいんか!裁判ばっか気にしやがって。だから人も国もぶつかっちまうんだよ!
まず謝っちまえよ!スッキリするぜ。
謝罪の王様 林家三平なんて「どーもスミマセン!」だけで笑いをとっちゃうんだ
ぜ!そんな奴あんたたちの国にいるかい?スゲーだろ!

俺は好きだぜ、日本のスミマセン文化。世界中の人がこのスタイルを真似れば、
世の中もっと平和なになるはず。
世界に誇る文化だぜ。
誰か、ユニセフの世界遺産かノーベル平和賞に推薦しちくれ!

いかん、ちょっと熱くなりすぎました。ぜんぜん謙ってませんね、僕。

スミマセン。。。

NO
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