15年3ヶ月のご無沙汰でした
「では、機会があれば、またどこかで。」
とこのリレーコラムでみなさんにお別れしたのは
1999年12月10日のことだった。
早いものであれから15年3ヶ月が過ぎた。
以来、夏期オリンピックは、
シドニー、アテネ、北京、ロンドン。
サッカーワールドカップは、
日本・韓国、ドイツ、南アフリカ、ブラジル。
計8大会が過ぎ去った。
ついでに20世紀も過ぎ去った。
機会があって、松井琢磨さんからバトンを渡された。
みなさんのお役に立つようなりっぱな内容は書けそうにない。
仕事や勉強に飽きたとき、
コーヒー、お茶のお供になるくらいの気楽なことを書きたい。
もし気が向いたら、一週間お付き合いください。
15年3ヶ月の間に、自分としてはいくつか大きな出来事もあった。
そのひとつが2014年11月の定年退職だ。
なんせ、人生、定年したことはなかった。
出向ならある。
36年8ヶ月務めさせていただいた会社生活で通算8年9ヶ月、
計3回の出向を経験した。
30代で2年3ヶ月、40代から50代にかけて6ヶ月、50代で6年だ。
でも、もちろん出向は定年ではない。
定年退職のお知らせをみなさんにするとき、気づいたことがある。
どのメディアを使ってどなたにどんな内容でお伝えするかということだ。
アプローチするメディアが格段に増えている。
お世話になった役員の方にはアポイントを取って直接ご挨拶したい。
同僚には社内誌でお伝えするのが便利だ。
相手に合わせて、メール、葉書、
フェイスブック、ブログなどを使ってご挨拶した。
「中山幸雄」という小さなブランドについて情報の更新を伝える。
たったそれだけのことだが、
どのメディアを使えば相手にきちんとアクセスできるか迷った。
葉書を書こうにも自宅の住所が分からない。
中国の友人にはフェイスブックではアクセスできない(WeChatを使う)。
このことはいまお得意さんが、
自分のブランド、商品を広告する際に体験することと同じだと思った。
テレビなど従来の四媒体だけでなく、
ソーシャルメディア、口コミなどフル活用しなくては
届けたい相手にメッセージが伝わらない。
予算と時間には限りがあるし、
誰にどこまでどんなふうに届いたか、全体像は把握しづらい。
確かにデジタルメディアは数値の把握はしやすいが、
それだけ使えば充分とはならない。
例えば相手がソーシャルメディアを使っていなければ、
コミュニケーションは成立しない。
実は舞台裏はそんな具合だったから、
「定年したなんて、自分は知らなかったぞ」
「定年後、いったい何やってんだ?」
と知らず知らず不義理をしてしまった方も
読者の中にいるかもしれない。
なにとぞ、お許しを。
中山幸雄は、2014年11月30日をもって
株式会社電通を定年退職しました。
このコラムでは定年前後から現在、
そしてこれからについて少々綴ってみたいと思う。
若い読者にとってはさして身近なテーマではないだろうが、
人は誰でも年をとる。
自分の時間を早送りして、
未来の風景をチラリのぞき見してみるのも
案外悪くないかもしれないよ。
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