リレーコラムについて

2030年にお会いしましょう

中山幸雄

15年3ヶ月ぶりに書き始めたリレーコラムも
早いものできょうで僕の担当分の最終回だ。
ここまで付き合ってくださった読者のみなさんには感謝したい。

シニア社員として契約書にサインし
RP60プロジェクトをひとまず完了。
同時に僕は次のプロジェクトの準備に入った。
コードネームRP65だ。
「80歳現役計画」第二弾プロジェクトである。
電通との契約は双方の合意で最長5年。
どんなに長くても2019年11月30日に終了する。
僕自身、今後一年ごとに契約を検討する考えだから、
(会社も検討するでしょうね)
この先自分のキャリアがどんな具合で進むか
いまの時点ではまだ分からない。
けれども電通との契約が
いずれ終了するのは分かっているから、
65歳以降どうやって現役生活を継続するか、
RP65を即始めても決して早すぎることはない。

その2で書いた通り、

  (a) グローバル
  (b) クリエーティブ
  (c) 人材育成
  (d) デジタルリテラシー

において、
(a)x(b)x(c)x(d)の最大化を狙うのは
RP65でも僕のサバイバルの基本である。
でもそれだけでは不足するだろう。
老化である。

  (1) 気力
  (2) 体力
  (3) 知力

において、
(1)x(2)x(3)の値が減少していくことが
僕の老化の定義である。
(1)x(2)x(3)の減少スピードを遅らせるためにどうするか。
いまさら、この値を向上させようとするのは現実的でない。
現実的でない目標を追いかけようとすると
足元をすくわれる。

気力、体力を整えるにはどうするか。
同居人が地元で見つけた太極拳教室に週一度通い始めた。
古式楊式である。
隔週で先生が基本動作を教えてくれ、
残りの週は仲間たちで音楽をかけながら自主練習。
マイペースな感じがなんとも僕には合っている。
僕が若手に属するくらいだからまさにシニア中心だ。
男女半々、みなさん明るくて冗談が好きで、
職場や業界での付き合いとはまるで違う地元の人間関係が始まった。

小学生のときから身体の硬い僕が
そうそううまくなるとも思えないが、
週に一度二時間身体を動かすだけで終わった後、実に気持ちいい。
身体は正直だね。
太極拳は体力をさほど要求されないので
この先長く続けることも自分次第で可能だ。
(続くかどうかまだ分からないが)
月3,200円の会費はシニアの財布にも優しい。

知力はどうするか。
『国家の罠 ラスプーチンと呼ばれて』(2005)の作家デビュー以来、
佐藤優さんの著作を折に触れ読み続けている。
メルマガ「インテリジェンスの教室」を購読し始めた。
佐藤さんの知的活動のベースキャンプがこのメルマガにあることが分かる。
毎回濃い情報、分析が満載されている。
(月2回発行。購読料1,080円)

このメルマガで知った同志社大学春講座in Tokyo
佐藤さんの連続講義「ナショナリズムと国家」受講を申し込んだ。
(5月から9月まで全5回。12,000円)
「インテリジェンス」は知力を上げるためにとても有効だと思う。
断片的な事実をつなぎ合わせ、
コンテキストを読み解くリテラシー能力がインテリジェンスだ。
例えばウクライナ、ロシア、イスラエルなどで起きている現象について
以前よりずっと理解が深くなり
自分でも分析できるようになってきた。
佐藤優さん、池上彰さん二人が薦める
『ウォール・ストリート・ジャーナル日本版』(電子版)の購読も始めた。
(最初の4週800円。以降4週2,499円)

「なんだ、シニアのくせに
 ずいぶんお金を使ってるじゃないか」
と笑われるかもしれないが、
投資するところは投資する代わり、
節約するところは節約している。

アプリ「でんき家計簿」(おすすめ!)を使って電気代を診断し、
3月から東京電力の契約を変更。
これで年間24,540円節約できる試算だ。
(メーターを変更する必要がある。費用は東京電力が持つ)

複数持っていたクレジットカードも整理し、
僕にとってメリットの少なかったJALカードを解約。
電話口の女性担当者は失望を隠さなかったが、
現在の契約が切れる6月で退会することにした。
家族会員分(同居人)も合わせて年間24,840円の節約。
貯まっているマイレージはなくならないし、
これからも貯められることを調べてある。

試しに使っていたら
うっかり自動継続になっていたAmazon Primeも解約。
さすがデジタル時代のトップ企業だけあって
年会費3,900円のうち3,276円が即時に口座に返金された。
退会、解約の手続きをストレスフリーにすることは
企業にとってますます大事になるだろう。
企業側だけが有利な「囲い込み」など、もはやあり得ない。

会社帰りに週に二三度は寄っていた居酒屋通いも止めた。
我が家の「立ち飲みハエタロウ」「居酒屋大王」で晩酌。
(ハエタロウ(故猫)、大王は飼い猫の名前)
我が家に残っている酒を端から順番に飲むことにしてあらたに買わない。
どの銘柄がいいとか、大吟醸がいいとか贅沢は言わない。
僕は気楽な店を厳選して通ってたから飲み代はたいしたことないが、
それでも一回あたり2,000円が浮く。
(寄りたくなるときもあるから、無理はしないけどね)

新聞雑誌は商売柄会社で読める。
社で購入している「東洋経済」「ダイヤモンド」は
同梱チラシのコードナンバーをアプリ「空飛ぶ本棚」に入力すれば
無料電子書籍として読めることを発見。
読みたい特集のときは早めにコードナンバーをチェックしておく。
(同僚はこうした特典をまったく知らない)

近所で食材・日用品を購入するときは
これまでため込んでおいたポイントで支払う。
スーパー、商店街、4枚のカードを使い分ける。
最初はポイントを使うのが気恥ずかしかったが、
どの店でもごく当たり前のこととして受けてくれる。
(そりゃ、そうだよね)

どうしても欲しい本は、
ずっと前に友人にいただいた図書券を使用。
図書券はどんな古いものでもすべて使える。
きょう、新宿「ブックファースト」で初めて使ったら、
お釣りももらえたし、書店のポイントも付いてきた。
ちなみに購入したのは
小西甚一先生『古文研究法』(ちくま学芸文庫)。
出版元の洛陽社が2014年に倒産し、この名著も一時絶版になった。
小西先生の『古文の読解』を復刊したちくまが
『古文研究法』も救ってくれた。
単行本は大事に持っているが、
この文庫は手元に置いておきたい。
800頁近い著作で、文庫とは言え税込み1,944円。
500円の図書券4枚使って、56円のお釣りを受け取った。

「猫の目家計簿」を付け始めて最初の三ヶ月が過ぎた。
83%ダウンの月給ですべてまかなうことはやはり難しく、
自分の将来のための投資や特別出費については
別会計(企業年金、職業安定局からの収入、預金など)で当面回す必要がある。
インフラ費用(電気、ガス、水道、通信、固定資産税など)については
共稼ぎの同居人(中山佐知子)に4月以降折半にしてもらうお願いをした。
我が家はなんでも折半なのだ。

いずれ、こうしたやりくりの日々を
「現代版・武士の家計簿」として出版したいと思う。
僕は凝り性だから詳細にデータを集めている。
もし、いつかめでたく出版されたら、
みなさん買ってくださいね!
「猫の手」から地にひれ伏してお願いいたしまする。

次にこのリレーコラムを書くのが15年3ヶ月後になるなら、
2030年、二度目の東京オリンピック・パラリンピックから
10年が過ぎた頃ですね。
僕は75歳になっていて、
もし「80歳現役計画」がうまく進んでいたら、
まだどこかで仕事をして、なにがしかの報酬をいただいているはずです。
その頃も文庫くらいは買えるといいな。

さて、来週は部長に昇格したばかりで
新しい役割が会社で始まった林まり子さんが登場です。
15年3ヶ月前にも林さんにバトンを渡したので、
実はこれが二度目。
林さんのやわらかな文章、視点が僕は大好きです。
どうぞ、お楽しみに。

では、機会があれば、またどこかで。
ここまで読んでくださって、本当にありがとう。
一週間書き続けるのは案外骨が折れたけど、
とっても楽しかったです!

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