育てるコピー
梅田さんからバトンを授かった北です。梅田さんは僕にとってコピーの先生のような存在。20代の頃は働いている会社も、関わっている案件も違うのに、よく真夜中にFAXでコピーに赤字を入れていただきました。あの頃の濃い毎日がなければ、コピーライターなんて続けられていなかっただろうなあと思う今日このごろ。そんな梅田さんからの大事なバトンを落とさぬよう、1週間がんばります。皆さんも、わずかでもお付き合いいただけたらうれしいです!よろしくお願いします。
さて、僕もコピーライターと名乗るようになって早15年ほど経つのですが、僕の現在の主戦場は華やかなCMや屋外広告ではなく、また大勢の人にバズるようなインターネット広告でもなく、採用広報というある意味閉じられた世界です。
ただ、この採用広報がとても面白いんです。よくコピーライターは「商品を売るコピーを書け」と言われますが、採用広報のコピーは「育てるコピー」。企業の人事の意識を育て、就職活動に励む学生のやる気を育て、それが結果として企業や学生の未来を育てる仕事になっていきます。
僕は2年前にこれまた長年お世話になりまくった師匠のもとを離れ、Fan clubという屋号で独立しました。この屋号にしたのも「育てるコピー、応援するコピーを書きたい」という想いからです。ファンって、大好きだからこそ、厳しいことも言える存在だったりしますよね。よくアーティストが「ファンに育てられました」とかインタビューで語ったり。ファンだけが気づく小さな変化とかもあります。自分が見出した才能が開花し、メジャーになっていくのはうれしい半面、淋しさもある…みたいな距離感もちょっといいなあと思うのです。それに有名企業であったとしても、商品や会社のファンはたくさんいても、その企業で働いている人たちのファンってほぼいないですよね。ふだん見ることさえできないですから。でも僕は毎年100人近くの「働く人たち」に取材を通してお会いします。すると、みんなものすごく格好いいんです。自分の仕事に誇りを持っている。だからこそ、採用広報をお手伝いするコピーライターとして、僕はそんな企業や働く人のファンのような存在になりたい。そう思って、屋号をFan clubにしました。
まあ、もう一つ理由はあって。クライアントやパートナー企業の担当者に電話した時、「○○さん、ファンクラブの人からお電話ですよ」と取り次いでもらえたら、担当者もちょっとニヤっとするだろうし、周りもザワっとするかなあ、と。そんなイタズラ心も大切にしていけたらと思ったのです。
ということで、これから1週間、採用広報の面白さについて思いつくまま書いていこうと思います。採用広報にもっと力を入れたいという人事担当者や採用広報に携わってみたいという若手コピーライター(志望者)が増えるといいなあ。