リレーコラムについて

紹介してくれるササキさん。

児島令子

はじめて佐々木宏さんと仕事をしたのは1998年。
ついにこのときが来たか!と胸躍りました。

私は新人賞をとってからもずっと、
東京には行かず、大阪で仕事をしていました。

どこにいようと、いいコピーを書いてれば、
誰かがきっと見ていてくれるんだよね?
コピー年鑑って、そのためにあるんだよね?

そうだ自分が東京に行くのでなく、
仕事の方がこっちに来ればいい。(キリッ!)
いや、来てほしい。いや、来てくださいな…。

そんな心境で、大阪の仕事をがんばりつつ、
500キロ東にいる佐々木CDに念を送り、
仕事の電話かかってこい~、かかってこい~と、
一方的に待ちつづけていたのです。

年鑑や広告雑誌を見るたび思いました。
あ、佐々木さん、今度は佐倉さんとやってる!
今度は神谷さんだ!東さんだ!
なんで私には声かからないんだろう…。
私きっと佐々木さんと合うと思うのに。
なんで電話ないの?なんで?
私が大阪だから?私が女だから?
なんで?なんで?

と、只今放映中の朝ドラ
「あさが来た」のあさちゃんのように、
大阪電通の仕事仲間に問いかけ困らせるのでした。
「いやあ、佐々木さんとやると大変らしいよ」とみんな。

そんな私についに、あさがやって来たのです!
いや、電話がかかってきたのです。
それは私には大きすぎる仕事。昨日少し書いた、
サントリーウイスキーのキャンペーンでした。

本来なら大御所がやるような仕事をなぜ私に?
そこが、佐々木さんの佐々木さんたるところ。
「ウイスキーの話法を変えたい。背中で語りたくない。
ならばコピーライターも思いきった人選だ!」
この人のこういうあまのじゃく?な性質のおかげで
いまの私があるのです。感謝。

こうして、KONISHIKIさん起用の
「ウイスキー飲もう気分。」キャンペーンが
できあがったのですが、その話は置いといて、
今日は佐々木さんとプレゼンに行ったときのお話。

はじめて一緒に行ったプレゼン、
佐々木さんは私をクライアントに紹介してくれます。
「こちら、大阪でいま光ってるコピーライター
児島令子さんです」

帰り道。
私は佐々木さんにクレームを入れました。
「あの~。大阪で光ってるっていうの、
やめてもらえません?」
それ以上は言わなかったけど、心の中で伝えました。
「コピー書くのに大阪も東京もないし。
それに佐々木さんのこと、
東京で光ってるCDって誰も言わないし」

次にまた別のプレゼン。
佐々木さんは私を紹介しました。
「こちら、女性でいま輝いてるコピーライター
児島令子さんです」

帰り道。
「あの~。女性で輝いてるっていうの、
やめてもらえません?」
それ以上は言わなかったけど、心の中で伝えました。
「コピー書くのに女性も男性もないし。
それに佐々木さんのこと、
男性で輝いてるCDって誰も言わないし」

次にまた別のプレゼン。
佐々木さんは私を紹介しました。

「こちら、ただの児島令子さんです」

ナイス!!
やっぱりこの人さすがだわと思った瞬間でした。

さていまなら佐々木さん、どう紹介するかな。

「キャッチの大きい児島さんです」
それ、昔の話。いつまでも先入観よくない。

「コピーをたくさん出さない児島さんです」
水面下で死ぬほど考えてるの。白鳥なんです。

「途中経過を見せてくれない児島さんです」
はい、夕鶴なんです。何か?

「夜中に電話してくる児島さんです」
コピーと関係ない。それにいまはLINEだぞ。

「LINEのスタンプセンスのいい児島さんです」
それ、ちょっとうれしいかも。

「コピーは一流、ギャラは二流の児島さんです」
ちょ…営業妨害やめてよ!

やっぱり、「ただの児島さん」がいいですね。

○○に強いとか、○○なコピーが得意とか、
そういうくくりもなくていい。
いつも、ただの児島さんとして、
いろんな児島さんにもなれるように、
柔軟な頭と心で仕事に向き合っていく。
そんなコピーライターで私はいたい。なのです。

ところで佐々木さんって、
まだリレーコラム書いたことないですよね?
誰か回してさしあげてください。

「いま、東京で!男性で!いちばんのCDの
佐々木宏さんにぜひともお願いします!」

って言っちゃダメですよ。

NO
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