期待されたハプニング

仕事でとってもお世話になっている方に
池宮さん、という制作会社のプロデューサーがいます。
まるっとしたフォルムで、
なぜかおそろしく歌がうまく、
みんなからは「いけみー」という愛称で愛されています。

池宮さんは、とっても、ユニークな方で
生きているだけでいろんな事件を起こします。
ご本人が狙ってやってる感じは基本しないので、
芸人だと「天然」というキャラになるのでしょうか。
おとぼけというより、出川さんみたいな感じです。

とあるコロナ禍のPPMでは、
感染対策でロケ施設内の人数を少なくしたいので
クライアントさんにはロケバスで
モニターをチェックしてほしいという趣旨で

「皆さんのモニターチェック用に、
ロケ地の前にちょうどいいロケバスを見つけまして…」

と説明して、
クライアントの皆さんを笑顔にしていました。

「ロケ地の前に、ちょうどいいロケバスなんかないだろ」って。

よく聞けば、
ちょうどいい駐車場を見つけたことを
言いたかったそうです。

またある休みの日には
「LINEグループに、写真フォルダの写真が全て流出する」
という、世界でここでしか聞いたことないバグが起こったとかで、

池宮さんの、
生活感あふれるプライベート写真が４枚ずつ、
次々にLINEに投下される、という事件がありました。

慌てた池宮さんは
もちろん必死に消すのですが、
写真は４枚ずつ上がるのに
消すのは１枚ずつしかできないから、
永遠に追いつかない鬼ごっこを
１人でずっとしている状態になっていて、

写真が届く通知で
鳴り止まないスマホを片手に、
僕は家の中で腹がちぎれるくらい
笑ったことを覚えています。

池宮さん節は、
今年のカンヌでも健在でした。

僕と、池宮さんと、
池宮さんの先輩の稲垣さんと３人で
Uber（タクシー的なの）に乗っていて。

スケジュール的に
僕だけ先に会場付近で車から降りる、
ということになり。

後部座席から、助手席の池宮さんに

「いけみー、ドライバーさんに、
ひとりだけ先におります、と伝えて〜」

という稲垣さんの声が飛びました。

なんて伝えればいいか困った池宮さんは、
ポケトークを取り出し、

「ひとりだけ先に降ります」

と日本語で語りかけました。

数秒すると、ポケトークが
フランス語に翻訳して、

“Seuls les plus épais sont là en premier.”

とドライバーに向かって話し出します。

しかし、
ドライバーは怪訝な顔。

そして、
助手席の池宮さんを見て、
クスッと笑い、ニヤニヤしながら

“You？”

と聞いてきています。

なんか変だなと思って、
「ポケトーク、なんて書いてます？」と聞くと

池宮さんのポケトークには、
はっきりと日本語で

「太いのだけ先に降ります」

と書かれてました。

たまたま滑舌が
よくなかったのでしょう。

「ひとりだけ先に降ります」が、
「太いのだけ先に降ります」に。

言語の壁を越えるはずのポケトークに
滑舌の壁で阻まれていました。

フランスでもおそらく
聞き慣れないであろうその文章に、
戸惑ったドライバーは、

ふくよかな池宮さんを見つけ
「お前が降りるのか？」と
半笑いで聞いてきたんでしょうね。

一瞬「？」が浮かんでいた車内で
その真相が分かった時、
またしても腹がちぎれるくらい
笑わせてもらいました。

…と、
まだまだエピソードがあるのですが、
とりあえず、お気に入りの
３つをご紹介してみました。

なんだか池宮さんに
会ってみたくなりませんか？

そんな池宮さんは
レギュラー案件でご一緒している
クライアントさんの中にもファンが多いです。

制作会社のプロデューサーにして、
クライアントに
面白ハプニングを期待されている

という普通に考えると
ありえない不思議な状況を作り出していて、

池宮さんを見ていると、
「愛されるという勝ち方がある。」
そんな名作CMを思い出します。
（体型は関係ありません）

最後に、池宮さんと一緒に制作した
“ロケ地の前で見つけたちょうどいいロケバス” で
撮影を見守った思い出の仕事を共有させてください。

https://youtu.be/CZZyuS3J9e4

仕事とは、
思い出作りである。

大好きな先輩の言葉が
身に染みます。

今日もいい思い出作れますように！