リレーコラムについて

ダーリンは中国人:「おせっかい」は愛である

小森谷友美

何を隠そう、わたしのダンナはとても、おせっかい。

中国に住んでいるときは、
毎朝「会社ついた?」とLINE。(→はじめてのおつかいじゃないんだし!)
雨が降ったら「傘持ってる?」(→なくても買えるってば!)
スカートをはいた日は「寒くない?」(→オシャレなの!)

彼だけじゃなくお義母さんも、
私が会社に行っている時に、家にものを届けるついでに、
家事をしてくれるほどのおせっかいぶり。

洗濯したはずのないパンツが、
ベランダでぴらぴらしていた時は、
冷や汗をかいたことも。苦笑

仲良くなった会社の同僚も、
わたしが好きなドラマを毎回予約して録ってくれたり、
わざわざ通勤途中に朝ごはんを買ってきてくれたり、
日中デモの時は家まで送ってくれたり。

中国で出会った人はみんな、
知らない人には冷たいけれど、
身内に対しては過剰なほど手厚かったのです。

いっぽう、私は人に何かをしてあげるとき、
常に「おせっかいじゃないかな?」と気にしてしまいます。

例えば、後輩に何かを教えるとき。

本当はこれを理解すると良いんだろうけど、
私が言ったら迷惑じゃないかな?
他の人が指摘してくれるかも知れないし、
言ったら落ち込むかも知れないし…。
あれこれ考えた挙句、結局何も言えずに終わってしまう。
そんなことも多くあります。

中国では、「人に何かをしてあげること」が優しさなのに対し、
日本では、「人に迷惑をかけないこと」が優しさなのです。

子供が小さいときも、中国では親がいろいろ世話を焼き、
ごはんを上手に食べさせてあげます。
でも日本では、子どもは1歳をすぎたころから
自分で手づかみでごはんを食べますし、
着替えも自分でできるように親がサポートします。

中国人からすると、日本の親って冷たい!と思うかも知れませんが、
人に迷惑をかけず自分でなんでもできるようになることが、
日本人にとってはマナーでありプライド。

私があれこれ口を出されたり、
手伝われて「おせっかい」と思ってしまう理由も、
こんなところにあるのかなと思いました。

でも、両者には欠点もあります。

銀座のユニクロに行くと、
中国人がところかまわず試着をする風景を見かけます。
脱いだ服はたたまず、大声でしゃべるしゃべる。
これは「人に迷惑をかける」ということへの
意識がうすいせいなのかなと思っています。

そして日本人の私は、
人にものを頼むことが大の苦手です。
つねに迷惑でないかな?と気にしてしまう。

この日本人の「迷惑をかけたくない」性質は、
社会問題の一端にもなっているような気がします。

たとえば中国では子どもが産まれたら、
家族や親戚みんなで面倒をみるので、
ママは子供を家に預けて、産後3ヶ月くらいで職場復帰します。
“保育園落ちた死ね問題”は、中国ではなさそうです。

お年寄りはみんなで声をかけあって、
近所で麻雀をしたり太極拳をしたり。
孤独死をする中国人、あまり聞きません。

そう思うと「おせっかい」って
ありがた迷惑な言葉として使われますが、
それがなくなると案外、寂しいものです。

「おもてなし」はどこか他人行儀だけど、
「おせっかい」は人と人をつなぐ、
温かい役割もあるのかも知れません。

・・・なーんて考えると、日頃のダンナへの
接しかたもずいぶんと優しくなれるものです(笑)
家庭の日中友好関係、持続しなきゃですからね。

☆明日へ続きます☆

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