コピーライター ☓ 本
タカハシマコト
コピーライターは、言葉のプロ。
打ち合わせで出すコピー案の裏には、書いては自分で消した数百のボツ案、選ばれる1本のコピーの影にはさらに数千、数万の不採用案があるはずですから、ある程度コピーライターを続けてきた人は一生にどれくらいの言葉を書き留めてきたか、計り知れないでしょう。
伝わる言葉を書く力があり、企画の技も磨いているせいか、多くのコピーライターの方が著書を上梓しています。大ヒットしている本も多数。
そこまで売れるかどうかにかかわらず、本を書くことはコピーライターに強くおすすめしたい身近なかけ算です。
書いたコピーやつくったCMが賞を獲るなど評価されるのは嬉しいものですが、クリエイターがゼロから創りだしたものではありません。まず商品やサービスがあって、それを世の中や生活者とつなぐアイデアが広告。
しかし、本で売るのは自分のアイデアそのもので、売れなくて凹むのもまた自分。自らの言葉や発想、考え方が「有料化」されたときにどれくらいの人がお金を払ってくれるのか、検証する意味でも出版はきわめて有効です(僕も売れない本を2冊出しているので、ふるえる指でこの文を書いています…)
著者になるためには、一般的には「出版社に企画を持ち込む」わけですが、あなたが巨匠クリエイターでない限り、テーマとして「広告論」を選ぶのはあまりおすすめしません。市場が小さくて数売れないですし。
コピーライターの仕事のそばには、世間一般の読者が読んでためになる技がたくさんあります。伝え方、プレゼン術、メモの取り方、会議の進め方、謝罪、人を動かす方法、メールやSNSでの作法、異性にモテるコツ、後輩道、負け続けても鬱にならないメンタル維持、徹夜に耐える健康法、激務でも家庭を崩壊させないポイント…などなど。
軍事技術を民間企業に転用するように、「自分にとっての当たり前(じつはマニアックなこと)」をうまく翻訳できると、売れて儲かるだけでなく、世の中にとっても有益な一冊になるはずです。
賞を獲ったりクリエイターとしてある程度名が売れても、世間的には意外と知られていないもの。全国書店やAmazonの流通網を活かせる「広告ジャンル外の著書」は、仕事の幅を拡げてくれるかもしれません。
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