リレーコラムについて

タンツボは、何処へ行った。

塚田由佳

驚きました。「トイレの話」への反響の大きさ。
今日初めて掲示板というところを見たのですが、
みなさん、トイレに対しては、なるほど
並々ならぬ関心を抱いておられることがわかりました。
勉強になりました。ありがとうございました。

そこで今日はみなさんへ、私が常日頃抱いている
もう一つの疑問を投げかけたいと思いました。
それは、ここ数年、全く街で見かけなくなった
「タンツボ」についてです。

私は、小学校の時から地下鉄を使って学校へ通っていましたが、
その頃は駅構内に確かにありました。
あのステンレスでできたやや穴の大きめな アリ地獄の形状をしたものが。
当時NHKに出入りしていましたが、そこにも
だいたいエレベーターホールに一つは
あったと記憶しています。
いちばん最初は、あれはいったいなんだろう、
誰が何のために使うのだろう、とかなり疑問でした。
でも、そのうち、まず100パーセント
世の中の「おじさん」という部類に属する人々が
「ペッ」「ペッ」と口の中のものを
吐き出しているものだということを覚えました。
「うわ〜、汚い」
その時、私に走った悪寒は未だに忘れることはできません。
あの銀色の物体の中に、
あのおじさんたちが吐き出したものがたまっているのだ、
と想像しただけで、もうたまりません。
それ以来その物体から50センチ以内には近づかないようにしていました。

でも、いつからでしょうか。
それは街中からすっかり姿を消してしまいました。
駅構内からゴミ箱が姿を消すより早かったような気がします。

「あー、すっきりした。」
一瞬でもそう思った私に罰があたったのかもしれません。
なんと、あの代理憎まれ役の「タンツボ」が消えたばかりに、
今では、私は町中のそこら中に節操なく痰を吐く人を
目にするようになってしまいました。
歩道の真ん中に「ペッ!」、車の運転席から「ペッ!」
駅のホームで「ペッ!」植木に「ペッ!」2階から「ペッ!」・・・
とにかく、彼らは嫌ってくれといわんばかりに吐き出すのです。
風邪の流行っている時などは、おじさんたちがはいた痰から
ウイルスが再び舞い上がるのではないか
との恐怖で、気が気じゃありません。

ああ、「タンツボ様」は何処へ行ったのでしょう。
「タンツボ様」を製造していた会社はどうなったのでしょう。
もう、「タンツボ様」を嫌ったりしませんから、
節操なく痰を吐き続けるおじさんたちをどうにかしてください。

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