リレーコラムについて

リア充への対処法

諸橋秀明

夏ですね。
ああ、しかも明日から週末だ。
来週なんて「山の日」もお目見えです。

ああ、もう目に浮かびますよ。

SNS上を席巻する
フェスだ、BBQだ、海だ、パーティーだ、飲み会だ、デートだ、
の投稿の嵐。(特にインスタが酷い)

でも、
広告業界の人って
週末も普通に働いているじゃないですか。

かくいう僕も、たぶん、来るんですね。会社。
で、友達の投稿に、
「いいなぁいいなぁ」という気持ちでいいねを押す。
で、ちょっとトイレで泣く。

まぁそんな週末を10年も続けているので、
僕なりの対処法があるんです。

それは…、
ある詩を読むことなんです…恥。

いやいや!
普段は詩なんて高尚なものは、
ぜんぜん嗜まない系の人間なんですが、
この詩だけは別なんですよねぇ。

宮沢賢治の『告別』。

もう何度、
誰もいない週末のオフィスで勇気づけられたか。
ほんとは、印刷してデスクにででん!と貼っておきたいのですが
それは、さすがにちょっと恥ずかしい。
(ブラウザのお気に入りバーには入ってます。ええ。)

ということで、今週末も出社のみなさん。
とくに元気がでる一説を下記にコピペしとくので、
ぜひ、ご一読を!(万歳!著作権フリー!)
レッドブルなんかより、全然、やる気でますよ!

———————————————-

『告別』 宮沢賢治 

(前略)

けれども いまごろ
ちょうど おまえの年ごろで
おまえの素質と力を もっているものは
町と村との一万人のなかになら
おそらく五人はあるだろう

それらのひとのどの人もまたどのひとも
五年のあいだにそれを大抵無くすのだ

生活のためにけずられたり
自分でそれをなくすのだ

すべての才や材というものは
ひとにとゞまるものでない
(ひとさえひとにとゞまらぬ)

云わなかったが、
おれは四月はもう学校に居ないのだ

恐らく暗くけわしいみちをあるくだろう
そのあとで おまえの いまのちからがにぶり
きれいな音の正しい調子とその明るさを失って
ふたたび回復できないならば
おれはおまえをもうもう見ない

なぜならおれは
すこしぐらいの仕事ができて
そいつに腰をかけてるような
そんな多数をいちばんいやにおもうのだ

もしもおまえが
よくきいてくれ

ひとりのやさしい娘をおもうようになるそのとき
おまえに無数の影と光りの像があらわれる
おまえはそれを音にするのだ

みんなが町で暮したり
一日あそんでいるときに
おまえはひとりであの石原の草を刈る
そのさびしさでおまえは音をつくるのだ

多くの侮辱や窮乏の
それらを噛んで歌うのだ

もし楽器がなかったら
いゝかおまえはおれの弟子なのだ
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光りでできたパイプオルガンを弾くがいゝ
——————

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