会ったことのない恩人。
はじめまして。
電通西日本神戸支社の北匡史と申します。
一週間、よろしくお願いいたします。
この仕事を始めるにあたって、一度も面識のない恩人がいます。
それは、作家の原田宗典さんという方です。
というのも、はじめてコピーライターというものを知ったのは、
中学生のときに出会った原田さんのエッセイがきっかけだったのです。
当時、僕は中学生で、
星新一さんのショートショートが好きでよく読んでいたのですが、
片田舎の本屋に売っている作品集はたいてい読了し、
学校の図書館のものも全部、読んでしまいました。
「これから、何を読めばいいのか・・うう・・」と、
星ロスの悲しみにひしがれながら
いつもの駅前の本屋をフラフラしていると、一冊の文庫本が目に入りました。
その装丁デザインは
「シンプルです」
「でも、ただものじゃないです。よろしく」
と言わんばかりの存在感。
タイトルを見てみると、
「吾輩ハ苦手デアル 原田宗典」
「・・・うーん、知らん作家だなぁ」
当然です。星新一さんしか知らないのだから。
めっちゃ上から目線の中学生の僕。
「まあ、ここで出会ったのも何かの縁だし、ひと目だけ見てやるか!」
よっしゃよっしゃと、思春期真っ只中の僕は
あくまで上から目線でおもむろに開くと、
「ガーン!」
と頭の中で除夜の鐘が108万回鳴り響いたくらいの衝撃を受けました。
面白いというレベルではなく、笑わせられるのです。
「クスッ」とか、「面白い」とかの理性的な感じではなく、
電車の中で噴きだしてしまう、感覚的な面白さといいましょうか。
そこからは、もう、大ハマり。
新刊が出るたびに買ったり借りたりして読みまくって、
その中で原田さんが仕事としていたコピーライターという職業を知り、
実際にコピーライターになってしまって、
今年、TCC新人賞までいただいてしまった。
この仕事をはじめるにあたって、多くの恩人が自分にはいますが、
そのいちばん最初の恩人は、
コピーライターという仕事を教えてくれた原田宗典さんだと思うのです。
いつかお会いして、お礼を言いたいなぁと思ったりしているのですが、
(ご本人はただ困るだけかもしれませんが)
言霊にすると現実になるとも言うので、コラムに書いてしまいました。
ただの自己満足ですみません。
※ちなみに文中で言及した
「シンプルかつただものじゃない」装丁を担当されていたのは、原研哉さん。
社会人になってから原さんの仕事を知り、目ん玉が飛び出ました。
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