日常と非日常
以前、香川へ旅行したときのこと。
多くの人と同じように
本場のうどんを求め、
多くの人と同じように
ネットで評判のお店に向かいました。
そこはかなり人気が高いらしく、
余裕をもって開店30分前に到着。
それでも、無骨で年季を感じさせるお店の前には、
もうすでに観光客の行列が出来始めていました。
うだるように暑かったその日。
朝とはいえ、もう身体は汗ばみ始めています。
並んでいることは分かっているはずだから、
早めに開けてくれてもいいのに。
そんな図々しいことを考えていると、
お店のドアが開いて誰かが出てきました。
そしてその隙間から、店内でゆったりとうどんをすすっている
人たちが見えたのです。
どうやら、それは地元の顔なじみのお客さん。
並ぶことなく落ち着いた空間で
味わってもらえるよう、
開店前に招き入れて先にうどんを提供していたのでした。
地元の方々がくつろぐその光景は、
とても自然で、ありふれていて。
非日常気分で浮かれていた私を、
はっとさせるものがありました。
お店側の配慮は、
ネットの情報に踊らされ
押しかけてはせわしなく去っていく私たちへの
静かな抵抗だったのかもしれません。
少なくとも
その粋な計らいがなければ、
彼らの日常は侵食されていたでしょう。
観光って、誰かの日常をかき乱すことでもある。
そんなことを思った旅でした。
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