学校中の泥だんごを壊して回った話。
小学校の頃、泥だんごをつくるのが好きでした。
どれだけ丸く、固く、大きくできるか、
6年かけてその技術を磨いていました。
土は、粘土質のものが良く、
雨上がりの日は、水たまりのフチに浮き出てくる、
その土を見つけては、丸めていました。
そして、ある程度の大きさになったら乾燥させます。
2日ほどたつと、中の水分が抜けて、硬い球体の出来上がり。
続いて、表面の磨きの作業に入ります。
砂場の細かい砂を表面にまぶし、
柔らかい布(Tシャツ)で磨きます。
ちなみに、磨きの行程は、繰り返すほど、
美しいお団子になります。
こうして、泥だんごは完成します。
6年間で何個つくったのかは覚えていませんが、
雨が降るたびに、粘土質の土を探していました。
団子の最後は、どうしても思い出せないのですが、
当時の僕は、何かに取り憑かれたかのように、
せっせとお団子を生産していました。
ところが、
ある日、つくるだけでは飽き足らず、
たったひとりである悪の組織を立ち上げました。
自称「だごスパ(おだんごスパイ)」です。
それは、乾燥中という、お団子製作過程における、
もっとも無防備な瞬間を狙って、
誰かがつくっているお団子を割ってまわる秘密結社です。
(心当たりのある皆様、本当にスミマセンでした。)
長年、だんごをつくっている僕には、
どこにお団子が隠してあるか、
手に取るようにわかったのです。
配電盤の蓋を開けたところ。
冬場の使われていないプールの入り口。
体育館の雨樋のなか、などなど。
風通しが良く、人目につかず、
グランドや砂場からそう遠く離れていないところ。
そういった場所は、実はなかなか少ないのです。
こうして壊したお団子は数知れず。
犯行の後を残しておくために、
キレイに真っ二つに割って残しておくのが、
「だごスパ」のやり口でした。
そして、「だごスパ」の存在が知れ渡り、
学校中が大騒ぎ!…ということにはやっぱりならず、
たかだか泥だんごが割れていることに、
大騒ぎするほど、泥団子に夢中な小学生はいませんでした。
そして、「だごスパ」は、人知れず解散していきました。
泥だんご作りにここまで夢中だったのは、
どうやら小学校で僕だけだったみたいでしたが、
世界では泥だんごを究めつづけている人もいるみたいですね。
(気になる方は「泥だんご 世界」で検索してみてください。)
あのとき、泥だんごの道を踏み外さなければ、
こうして、コラムを書くこともなく、
僕もどこかの山奥で泥だんごを
せっせとつくっていたのかもしれません。
あの日、道を踏み外しておいて、良かったです。
さて、次回は、
「本気のカンチョーはしてはいけない」です。
いたずらシリーズは明日で完結です。
引き続き、タメにならない話を、
させていただければと思いますので、
なにも考えたくないときに、
お読みいただければと思います。
明日もよろしくお願い致します。
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