TCCとデジタル広告の親和性について。
定食屋が三軒しか無いような田舎の大学の建築学科で、
ずっと模型をいじっていました。
主に思想色強めの空想建築を。
こういうのがあったら、世の中変わりそうなのにと思いながら。
そんな中、広告業界という存在を知って
都市デザインとかCMとかやりたい。
なんて思ってこの世界にやってきて、
今ではなぜかデジタル界隈の仕事をよくやっています。
多分メガネをかけていたから
デジタル出来るんだろうと勘違いされたのでしょう。
それで、長いことマスのおまけみたいな仕事ばっかりやっていました。
「こういうCMだから、これネタにして何かやってよ。」
「クライアントが新しいことやりたいらしいから、ついでに提案しようよ。」
「カンヌ狙いってオリエンが来たよ。」
そんな誘い文句に乗って、何案も考えて持って行っては
「ごめん。CMの方向性変わったからこれ無しで。」
「なんとなく無くなったみたい。」
「カンヌより、効果重視に変わったらしいから再提案で。」
の繰り返し。
し…しどいっ!!
涙で濡らした枕は星の数ほど。
プレゼンをしては立ち消えての繰り返しが数年続きました。
今はデジタルの地位が向上し、そんなことも少なくなってきました。
幸せな時代です。
せっかくなので、その受難の内に学んだことを共有させて頂きます。
【CMをネタにして何か。はうまくいかない】
CMは観られる前提で作られていて、
WEBは見てもらうための工夫が必要
という違いがあるため。
CMをWEBで広めたければ、それ自体に広まる仕掛けが居る。
っていうか、CMを広めてもほぼ意味が無い。
広めるべきは商品のことだったり、伝えたいこと。
【あたらしいことをやりたい。は、大体あたらしくない。】
よくあるのが、どこそこのアレみたいなやつ
っていうイメージがクライアントの中にあって、
その正解探しになってしまうパターン。
その時点で失敗コンボにはまってます。
こういう場合は、本当に伝えたいことは何なのか。
そのためには、何を抑えておけばいいのか。
という話をクライアントと一緒に考えた上で
あたらしいことを目指した方がうまくいく気がします。
【カンヌをとりたいというオリエンはやばい】
現場の方はそう思ってて、上で潰されるパターンです。
ただ、その熱意は本当であることが多いので、
どうしたら上まで通せるかを相談して進めるが吉です。
といいつつ、僕らはこのオリエンが来たら
大体は死滅ルートを想像します。
そして、最近多いのが
【WEB動画でバズりたい】
まてまてまてまてまてまてまて!!
拙者は知ってますぞ、何でそうなってるか。
忍者女子高生とサムライinブラジルと爆速エビフライが
ほぼ同じ時期に公開されたから、
あれ?これいけるんじゃないの?
ってなってるんじゃないの!?
…上記は珍説として聞き流してもらって結構なんですが、
真に言いたいのは、
オリエンで手法が限定されてきたときは
本当の目的から考えた時
それで良いのかを
ちゃんと検証するべきなのではないか
ということです。
僕らが手がけた10分どん兵衛の謝罪広告
http://www.donbei.jp/10min/
10分どん兵衛提唱者のマキタスポーツさんと
どん兵衛の担当者の方の対談がメインコンテンツですが、
これを動画にするって話もありました。
でも、これ動画だったら誰も見ませんよね?
目的は、10分どん兵衛をより広めて、
かつ食べてみたいって気持ちを広げることでした。
だったので、そういう気持ちに自分がよくなってしまう
スマホで見やすい対談形式の記事という体裁になりました。
目的があって、手法があるわけであって
手法が先にあったら、それはおかしいんです。
で、手法というのが皆がスマホを持った
=みんながデジタルになった
現状においては手法は無限大に思えます。
デジタル広告においては、たとえば
都市デザインを行ったりしても効果的であればOKなのです。
カンヌを席巻したdroga5も、FUEL BANDのR/GAも
もとは全部デジタル広告出身です。その上で領域を広げています。
いまとなっては、世の中を変えらえる可能性があります。
なんと、自由になったことか。。
星になった枕たちよ。ありがとう。
長くてすいません。
なぜTCCのリレーコラムでこんな話を書いているかと言うと、
コピーというのは本来デジタルと親和性の高い手法なのでは
と思うからです。
特に、往年のグラフィック広告の
センセーショナルなコピーや
手法はものすごくWEB的。
例えば、
西友の
「サラリーマンという仕事はありません。」
これ、#サラリーマンという仕事はありません
というハッシュタグでキャンペーン貼ったら、
みんな「じゃあ俺は何なんだ?」ってなって
自分は◯◯って仕事だっていう大喜利が始まりそうです。
ボルボの
「私たちの製品は、公害と、騒音と、
廃棄物を生み出しています。」
このコピーをTOPページにドーンと載せて
下にいくと、データとこれからのアクション。
という構造のサイトは議論を呼びそうです。
「消えたかに道楽。」
スマホを構える人の群れが容易に想像できます。
なぜなのかと考えると、
グラフィックの、CMと違って届くかわからないから目だとう
というマインドが、そもそもとてもWEB的だからです。
最近だとベッキーの宝島の新聞広告が話題になりましたね。
長くなりましたが、
そういうわけでデジタル広告という場所は
TCC向きなのでは!って話です。
WEBわかんないからって先輩に言われたりしますが、
そんなこと無いんじゃないかと。
むしろとてもハマるのではと僭越ながら思ったりもします。
なので、WEBはWEB動画だけじゃなくて
いろいろな手法があって、
それらが絡まりあってどんどん面白くなっていくはずなのに
なんでACC(そういう動画寄りの広告賞があります)は
オンラインフィルム部門があるのに
インタラクティブ部門で動画にグランプリあげちゃったんですか?
それだと、なおのことやれることの幅が狭くなるような
業界の指針しめしちゃってますけど、おかしくないですか?
ンダモシタンはオンラインフィルムカテゴリで
獲らせるべきだったのでは無いでしょうか。
(動画として素晴らしい仕事なので。大リスペクトしてます。
同期の村田がやってるんで、この話はしました。)
いろいろやれるのがデジタルの面白いところなのに。
これでまた動画だけやればいいのでは?
って空気が蔓延するんじゃないかと思うと
なんだかものすごく残念な気持ちになりました。
もちろんWEB動画は自分も作ってるし、好きなんですが
それでもと思って…。
と、嫌な空気にしたところで
バトンをパスします。
同期で近所に住んでる仲良しの巨人、大津裕基です。
どん兵衛の仕事を一緒にやっている猛者(北海道民)でもあります。
ちなみに、バトンをくれた茂庭もどん兵衛やってます。
どん兵衛万歳!!
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