リレーコラムについて

魔除け

村田俊平

この10月電通九州から、電通に戻ってきた村田俊平です。
配属を巡ってちょっと社内の笑い者になったりしていますが、
おおむね私は元気です。

さて、本来ならば、僕は、先週の担当であったのですが、
TCCリレーコラムは一週間お休みでした。
なぜなら、先週末、TCC授賞式があったからです。
(嘘です。授賞式でリレーコラムはお休みになりません。
単に僕がさぼっていました。。。すみません。)

さて、このTCC賞―。
僕はめちゃくちゃ嫌いなのです。不快です。

「歴史あるTCCという組織と、栄えあるTCC賞を侮辱するとは…!」
と憤ってらっしゃる方…、一旦ご安心ください。

いわゆる、これは、
「最初にキツいこと言っといて、なんやらかんやら、
最後は”そんなTCCが嫌いで大好きだ”
みたいな感じにベタベタに終わるあのパターン」のヤツでして…、
嗚呼、怖くなってオチを先に言ってしまった…。

というわけで、話を戻します。

先ほどの発言、正確には、別にTCC賞が嫌いなわけではなく、
「”新人賞受賞しました!”とかっつって、facebookに投稿される写真」
が、たまらなく嫌だったのです。

3年前の電通九州への出向直前、当時のクリエーティブ局は、
転局の嵐が吹き荒れていて、
どう見ても僕より優秀そうだったり、賞もいっぱい取ったりしている若手が、
違う局へと続々異動していくのでした。

一方アチキはといえば、入社してから、
優秀な同期や後輩の中、
局内でもそれほど期待されず、
したがって特に師匠と呼べる人にめぐり合うこともできず、
もらった賞といえば、「環境スローガン」ってな、
社内オンリーのご意見キャッチコピー大賞みたいなものが精いっぱいでした。
これでは、異動の候補に上がらないわけがありません。

「次に狙われるのは手ぶらのオイラだど…」

僕は可及的速やかに広告賞をもらう必要を感じていました。
特に、このTCC新人賞。
これは「取ったら奇跡」ほど難しくもないが、
もちろん簡単でもない、かつ、「人生でもらえるのは一度だけ」
というゲーム性も相まって、依然電通内でも存在感のある広告賞です。
僕にはこれが魔除けに見えました。
まぁ、「賞なんて古っ!」みたいな考え方があるのも知っています。
が、少なくとも当時の僕には、未来の自分のやりたい仕事を
考えたら必要なものだった。

そんな焦りまくって過ごす日々、
毎年この季節に上がってくる「TCC取りました!」的
ニコパチ写真は僕にとって、悪夢。
天使のような悪魔の笑顔でしかありませんでした。
一人、写真を見つけては深夜に取り乱す。
これがミッドナイト・シャッフルです。

特にキツかったのは出向前後の数年。
今回グランプリに輝いた(おめでとう!)後輩の
佐藤舞葉ことまいはんの受賞を皮切りに、
同じ局で近い年次の人たちがどんどん受賞をキメていきます。
大体、局の次長かなんかと一緒に映っていて、
局へのアピール、手ごたえばっちし。

挙句、出向した年には
「お前らは大丈夫だよな?仲間だよな?な?」と思っていた、
仲良し同期の大津君と秋田君が
ダブルパンチで受賞します。
(この話を僕は名古屋で聞いたのですが、
その時食べていた山本屋の味噌煮込みうどんまで
少し嫌いになりました。)

なんだかすごく取り残されたような気がしたものです。

幸いにも、仲間が取った次の年に新人賞をもらい、
ラッキー続き、今年は、TCC賞をいただきましたが、
それでも、なおなんだか名残で、写真をみると不安な気持ちになります。
どこか取り残されてるような、トラウマが…。

というわけで、自己紹介がてら、
人の喜びを素直に喜べない僕と同じような人が、
もしかしたら、ちっとはいるんじゃないかと。
そんな人に「あぁ、自分だけじゃないんだな」という
気持ちになってもらえればと思い恥ずかしい話を書きました。

がんばれ!僕もがんばります!

ちなみに、僕よりもっとためになる広告賞の話は清水幹太さんが、
僕自身についても中村洋基さんが、奇しくもPARTYのお二人が
深く、わかりやすく、面白く書かれているので、
そちらを読んでいただいたほうが時間の無駄にならないかと、
って、一番最後にすみません。

アベコー©さんみたいな話で始まっちゃいましたが、
一週間よろしくお願い致します!

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