パラダイムシフト麺〜前編〜
人並みに麺が好きです。
なかでも好きなのが、既成概念を壊してくる麺。
私たちは気づかぬうちに、麺の正解を刷り込まれています。
コシが強いものが正解。アルデンテが正解。などなど。
疑うことなく麺を食い、疑うことなく死んでいく。
そんな僕にマトリックスのモーフィアスよろしく
真実の世界を見せてくれたのが、
香川県のホテルのカウンターの方でした。
大学一年生だった僕は青春18切符を駆使して、
うどん好きの桃源郷である香川へやってきました。
うどんはコシ。コシこそがうどん。
調子にのってカウンターのお爺さんに、
「一番おすすめのコシのあるうどんはどこですか?」
と聞いた僕に返って来た返答は、
「うどんはコシじゃなくて、のどゴシだよ。」
モ、モーフィアス…。
言われてみると、香川のうどんはそこまでコシが無く、
ズルズルすするときの通りの良さが美味さなのだ
ということが分かってきました。
というか、モーフィアスがそう言ってました。
強すぎる思い込みは、
ひとたび破断するとオセロのように裏返ります。
とたんに、知らないうちに刷り込まれた正解を
疑うようになりました。
人生には二回パラダイムシフトがある。
と言います。僕の場合のそれは一回目が大学一年の香川。
二回目は、大学四年生のときでした。
友人に連れられて行った有楽町の「ジャポネ」。
銀座インズ3というオールドスクールな
ショッピングセンターを分け入って行くと、
片隅に突然あらわれるカウンター形式のスパゲティ屋。
茹で置かれた太麺のスパゲティを中華鍋でガンガン炒めて
大きめの皿で出されます。
小松菜やトマトの入った醤油味のスパゲティです。ジャリコがオススメ。
これがまあ美味いのなんの。脳に直接やって来る美味波(うま波)よ。
もしかして、これがドラッグなるもの…
余談ですが、横浜で行きつけのラーメン店があって、
ほんと中毒性のある美味さでどうなってんのこれ
って思っていたら、店主がドラッグの取引やってて捕まってました。
閑話休題。
それくらい美味い。
茹でおいたものを炒めるので、
芯一本のこして茹でたのをすぐ食べるアルデンテとは真逆。
アルデンテ教発狂間違い無し。
それ以降アルデンテを崇拝する宗教から抜け出しました。
ちなみにこのジャンルのことをロメスパと言いまして。
長くなってきたので続きます。
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