リレーコラムについて

パラダイムシフト麺〜後編〜

尾上永晃

ロメスパとは、路面店のスパゲティのことを言います。

前のコラムではジャポネについて書きましたが、
ロメスパと言ったら外せないのが、
大手町のリトル小岩井でしょう。
ジャポネやジャリコといったメニューに加え
ベーコンやピーマン入りのイタリアンなどがあるお店です。
おや、ジャポネのパクリ?と思った方、ご安心ください。
有楽町ジャポネはこの店出身です。
酸辣湯スパとか変なのを週変わりで出すのが特徴。

虎ノ門のハングリータイガー。イタリアンの店ですが、
ダニエルというスクランブルエッグ状のカルボナーラがうまい。

浅草のカルボ。ここのカルボナーラも
焼きカルボナーラといった風で癖になります。

あとは厳密にはロメスパでは無いですが、
亜流のスパゲティというくくりでいうと
代々木上原ハシヤの系列があります。
ウニをごってり使った木鉢のスパゲティは
大体ハシヤの系譜だったりします。
新宿三丁目の軒下とか目黒のダンに八丁堀のマイヨールですね。
これもまた鼻血が出そうな美味さ。
ADの相楽なんてハシヤを好きすぎて、
ちょっとでもくさすと怒りだすほどです。

ロメスパインスパイア系のミスターハングリーや
カプリチョーザ系列のバルボアといった若手陣もこれからに期待です。

そこにきて超新星のごとく現れたのが中目黒の関谷スパゲティ。
味はロメスパそのものなのに、
生麺を使っているため食感が本格パスタに近いのです。
ジャンクと本格の良さを併せ持つこのスパゲティ。
初めて食べたときに頭に浮かんだ言葉は「卑怯」でした。
歴史は麺のようにうねりながら進んで行く。
そう感じさせるスパゲティです。

二回で終わるはずのパラダイムシフトは、
先日伺った九州で三回目を迎えました。
博多空港の牧のうどん。
博多のうどんは柔麺なんですが、
ここの麺にはコシなんて概念がありません。
ぶよぶよの塊を濃く熱い出汁で食う。
食感は伊勢うどんに近いですが、
汁麺なのでより渾然一体とした
新たな概念を食しているかのように感じられます。
似た食感を求めて、家でうどんを30分茹でてみても近づけない
あの高み(もしくは低み)。嗚呼。
ちなみに博多駅バスターミナル店は全然別ものなのでご注意ください。

他にも、パラダイムシフトまでは至ってませんが、
虎ノ門は港屋のラー油蕎麦や横浜野毛第一亭のパタン
といったワクワク珍麺はまだまだ眠っています。
地球には人類未踏の地はもう無いと言われています。
でも、そんな麺に偶然出会ったとき、僕はまだ見ぬ
パラダイムシフト麺に思いを馳せて、恋に似た気持ちを覚えるのです。

※「こんなのあるよ」って方いましたら、教えてください。

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