一コマ漫画を描く
1コマ漫画を
1日ひとつ描いている。
誰にも見せることなく、
コツコツ描き続けている。
2007年8月28日にはじめているので
もう10年になる。
3分で考えて描く、というのがルール。
無印良品の文庫本ノートの見開き。
左のページに絵を描き、
右のページに言葉を書く。
夜。
寝る前とかに、
ぼんやりと頭を自由にして
ゼロから何らかの概念をつかまえる。
それを、すぐ描く。
はじめるきっかけは、
コピーライターになったばかりの頃、
佐藤雅彦さんの本を読んだことだ。
佐藤さんは広告を仕事としながら、
家に帰ると、数学の問題を一問、毎日解いていたという。
そうしないと自分がだめになる気がしたという。
広告だけつくっていては
いい広告はできない。なんだか真理に思えた。
しかし、残念ながら私は数学ができなかった。
だから1コマ漫画で手を打った。
だが、この1コマ漫画は、
どこにも行き着く先がない。
3分で殴り描いているので
アイデアは煮詰まっているわけでもなく
自分でもどう面白がっていいか
わからないものばかりだ。
しいていえば、
道で一円玉を拾うようなものか。
宇宙を漂う価値のあまりない概念を
もったいないから拾う。そんなイメージだ。
基本的には
何らかの情景を思い浮かべることが多い。
たとえば
先週のラインナップは
こんな感じだ。
(絵があるのですが、文だけ写してみます。)
「この犬は噛まないから大丈夫」
という人の顔にすごい傷がある
おぎやはぎを起用して
再建を図るおはぎ会社
「安心せい峰打ちじゃ」って言うけど
相当痛かった
うちの県だけ
県人会がなかった
関ヶ原の合戦が終わったことに気づかずに
ずっと山中で隠れ暮らしていた人
…なんてコメントしたらいいか
わからないかと思う。
僕もこれをどうしていいかわからなくて
10年もたってしまった。
こんなものが10年ぶんもある。
死後に、遺品から出てきても
まったく意味がわからず、
遺族を当惑させるだろう。
だが、宇宙を漂う概念とは
そういうものかもしれない。
意味のないもの、
あまりメジャーではない、
陽の光に晒されるとすぐ死んでしまうような
ささやかなものが、わりと好きだ。
広告はメジャーなことが大切とされるけれど
昔はもっとわけのわからないマイナーなものが
いっぱいあったように思う。
そういうものだって
生き残るべきではないか。
それにこれが
広告企画のネタとして役立つことも
ごくごくごく稀にあるのだ。
たまにヒットを打つのだ。
まあ
野球の打者でいうと
打率.052 本塁打1 打点4
くらいのイメージか。
…もう解雇するべきかもしれない。
こんなことやってる場合ではない。
人生は短い。
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1週間ありがとうございました。
つぎは、僕が大好きなコピーライター上田浩和さんです。
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