リレーコラムについて

手だけで稼ぐな、足でも稼げ。

阿部広太郎

「なんだよ、そういうことかよ」
読んでいた本を閉じ、僕はぼんやり宙を見た。

いい仕事がしたい。
いい仕事ができる人になりたい。
そうとなれば、いい仕事をしている人の本を読もう。
歴史に名を刻む偉人から、
現代を駆け抜けるトップランナーまで、
お手本にすべき人はやまほどいる。
とにかくこの世に成果を残している人の本を、
街の本屋で、アマゾンで、
仕事本やビジネス本を買い漁り、
暇さえあれば読みふけった。
彼らの言っていることの根底は同じだった。

動け、考えろ、続けろ。

これだ。ぼんやり宙を見ながら、確信した。
成功している人と、成功しない人の違い。
極論と言われるかもしれないが、
結局この3つでしかない。

そして、その自分なりの発見を、
自分に組み込まなければいけない。

他人がいかに動き、他人がいかに成し遂げたか。
本を読み、自分と重ね合わせ、やる気が湧いてくる。
でも所詮、人からもらった熱量はもって3日だ。
心地いい読後感だけでは、人生は好転しない。
自己啓発で終わらせちゃだめだ。
自己開発まで背伸びしないとだめだ。

いわば自分自身のエンジンを駆動し、
ガソリンをそそぎ続けなければいけない。

そのためにすべきこと。
それは、自分ならどうするか?を、
愚直に考えつづけることだ。

時に、2013年ごろから、
「広告業界はもう終わった」
「コピーライターに未来はない」そんな、
無責任なニュースが増えていたように思う。

いつだって、終わってるというやつが、いちばん終わってる。

僕はこう考えていた。

「広告とコピー」と捉えれば小さい。
でも、「仕事と言葉」と捉えれば、
コピーライターの活動領域は無限に広がる。
むしろ、こんなにも可能性のある、
エキサイティングな職業はないんじゃないかと思っていた。

その上で、働き方も変えた。
働くというより「働きかける」を大切にする。
3つのワークを、念頭において動きはじめた。

1、コピーワーク
その仕事の大義名分を考え、言語化する。
その言葉は、仕事のリーダーシップをとる。

2、フットワーク
まず動く。まず会いにいく。まず現場に行く。
好奇心の赴くままに、せっかくだからを大切に。

3、ネットワーク
ひと月に新しい人、50人と出会う。
他人と出会うことで、自分が見えてくる。

まだ無名で、まだ自分の存在なんて、
あまり知られてないということで、
自信がなくなったり、落ち込んだり、
すぐ言い訳しそうになる。
けど、けど、だからこそ、
誰かがチャンスを与えてくれることを、
誰かが見つけてくれることを、
待ってちゃだめなんだ。

手だけで稼ぐな、足でも稼げ。

そんな風に自分を奮起させて、
ただひたすらに、世の中に働きかけ続けた。

自分でつくった仕事が、
ほんのすこしずつ育ち、うまくまわり、
仕事への手応えと、それに対して、
自分の限界も見えてきた2014年の暮れ。

もうひと踏ん張り、背伸びする決心をした。
それが、学校をつくることだった。

(つづく)

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