リレーコラムについて

10年の間に

小藥元

電通の阿部さんからのメールで、
リレーコラムという存在すらどこかに忘れてしまっていた自分に気づいた。
23歳(で新人賞をいただいた)の僕は、もう34歳だ。
あれからもう10年が経った。
10年の間に、僕は結婚をし、子供が生まれ、
博報堂から独立し、また子供が生まれた。
日本の総理はまた戻り、アメリカの大統領は2度変わった。
オバマが大統領選で訴えた「YES,WE CAN.」という言葉。
あれがもし、黒人初の大統領となろうとしていたオバマではなく、
言葉を放った場所がアメリカ大統領選でもなかったら、どうだろうか。
どこかの高校のボート部だったら?
それは世界を変える言葉ではなく、勢いのいいかけ声で終わっていたはずだ。
言葉は、不公平だ。(悲しいけれど)
誰が言ったか、どこで言ったか。そして、誰が書いたか。
そのかけ算が言葉にパワーをもたらし、
そしてそれこそが広告という存在だ。
ずっと一枚のグラフィックを前にやってきた。
そのとき、そこに置かれた言葉は、
そもそも比べられるものなのだろうか。
自分の中での疑念や確信に気づいてからだろうか
(もちろんそれだけが理由ではないのだが)
僕はこの「TCC」「年鑑」という場所から少し距離が出来てしまったのかもしれない。
けれど、10年以上も経つのに、変わらなかったことがある。
それは、コピーライターという職業を、
人生をかけて全うしたい自分がいるということだ。

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