2. まだないモノを仕事にする。
北極圏に住むイヌイットには、
雪を表す100もの名詞があるという。
言い換えれば、雪の微細な表情を100通りに見分けている。
雪の状態のちょっとした違いや、そこからの天候判断が、
生死を分けるような判断につながるからこそ、
100通りの見分け方が必要だとも言える。
雪が彼らの生活に密着した存在だからこその言葉の豊かさ。
一つ一つの雪に、生活の中での意味がある。
だけど、日本には100もの雪の名前はない。
さらに、雪の降らない南の島では、
概念として「雪」を知っているが、見たことはないかも。
同じ雪景色でも、
イヌイットの人が見るのと、日本人が見るのと、南の島の人が見るのとでは、
まったく違った景色に見えてくるはず。
言葉のあるなしは、世界の解像度であり、世界の豊かさである。
言葉は、人間が世界に切れ目を入れ、意味を与えるためのツールだ。
逆に、
新しい言葉をつくれば、新しい世界が見えてくるのではないか。
さらに、
新しい言葉をつくれば、新しいモノゴトが生まれるのではないか。
「電気自動車」が存在しなかったときに、「電気自動車」と書いてみること。
「パーソナルコンピュータ」「スマートフォン」とあの時代に書いてみること。
「宇宙エレベーター」と書いてみること。「時間旅行」と書いてみること。
コピーライターは、
すでに存在するモノを言葉で表現できるだけではない。
まだないモノ(虚構・フィクション)を言葉で生み出し、
新しい現実のはじまりをつくることができるはずだと思う。
(QUANTUMという会社にいます。www.quantum.ne.jp )
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