リレーコラムについて

3. 広告じゃない言葉を仕事にする。

原田朋

コピーの影響力とは何だろうか。

広告を見た人の数と、
その人たちの心が動いた大きさ。
と考えることができる。

しかし、
広告コピーとして外にでなくても、
10000人の社員の心を動かすような
企業のインナーワードの力は果てしない。

ひとりひとりの心に火をつける
力のあるインナーワードは、
社員の方々の毎日を勇気づけ、
やがて良いプロダクトを生み出し、
その企業を成長させ、
世の中にインパクトを与えることになるだろう。

コピーという言葉は、
複製されてたくさんの人に届くという意味だと思っている。

広告コピーは、
伝統的には印刷されて届き、
その次に電波に乗って届き、
今はデータになって、
たくさんの人に届く。

一方、
企業の魂になるインナーワードは、
日々の社員の方々の活動に火をつけ、
そこから生まれるプロダクトの中に溶け込み、
プロダクトの形で、
たくさんの人に手に届くのではないだろうか。

言葉の形でないとしても、
世の中の人に、
その言葉はとどいているのだと思う。

ただ、インナーワードと広告が一体化すると最強だ。

歴史上、最も影響力のある広告コピーであり、
そして同時に最も影響力のあるインナーワードのひとつが、
AppleのThink different. だと思う。

Think different.という言葉を社員の方々が胸に持てば、
Think different.なプロダクトが生まれ、
Think different.な企業活動が生まれていくだろう。

ブランドと言うと、
ブランドイメージとかブランドタグラインという言葉もあり、
ビジュアルイメージや言語表現のような気もするが、

Think differentというブランドタグラインのことではなく、
そこから生まれていく、
企業の活動全体がブランドなんだと思う。

影響力のある仕事をしたい。

よろこぶのは、
言葉を書いた瞬間ではなく、
言葉がONAIRされた日でもなく、
言葉が世の中にインパクトを与えたときでありたい。

広告の形をしていない言葉の仕事が増えている。
僕は、そういう仕事が好きだ。

言葉に求められるものは、今、かつてなく大きい。

(QUANTUMという会社にいます。www.quantum.ne.jp )

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