サハラ砂漠のまんなかで①
このリレーコラムは、
なにを書いても良い、という非常に困ったものです。
普段、コピーを書くときは得意先からオリエンをいただくので、
考えるとっかかりはあるのですが、
このコラムに関してはなにを書いたらいいのか、正直、まったくわかりません。
とにかく一週間なにか書いてください、と。
そこには、コピーライターなんだからおもしろいことを書いてね、という
無言のプレッシャー(そう感じてるのは僕だけかもしれませんが)もあって、
前回、担当させていただいたときはとても悩まされました。
いちど、書いてみて分かったことは、
「このコラムに正解なんてない!」ということでした。
そんなこと言ったら、元も子もないですが、
そういった開き直りを一番最初に述べさせていただき、
私のコラムをはじめていきたいと思います。
ようやくここで、タイトルにふれるわけなのですが、学生時代、
五年前になりますが、サハラ砂漠のまんなかで野宿をしたことがあります。
なんで、そんなことになったのか。
その経緯は、なんとなく思い出せるのですが、
そのときの気持ちや感覚は、もはや忘れてしまいました。
なぜあの日、あんなにも砂漠に心を惹かれたのか。
時間が経ったいま、もういちど記憶をたどりながら、
そのときの気持ちを思い出していきたいと思います。
前置きが長くなりましたが、一週間よろしくお願いいたします。
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大学院1年の就活を控えた夏休み。
建築を学んでいた私は、大学の建築仲間と
ヨーロッパの建築めぐりを計画していました。
建築の教科書で見るようなものから、
最新の建築雑誌に載っているものまであるヨーロッパは、
建築を学んでいた学生にとっていつか行ってみたい場所のひとつでした。
旅は、ロンドンからはじまり、パリ、ラトゥーレット修道院、
バーゼル、ベネチア、と建築を見て回るもの。
忙しかった友人たちと違って時間を持て余していた私は、
2週間早く、特に行くあてもなく、ヨーロッパ入りをしていました。
その頃の自分を思い返してみると、建築にも夢中になりきれず、
いろんな国を巡ったりはしてみたりするものの、
世界一周をするようなバックパッカーにもなりきれない、
将来に向かってやりたいこともなく(というか真面目に考えていない)、
親の金で遊んでいるような、どうしようもない人間でした。
バルセロナで幾つかの建築を見たあと、
バレンシアでトマト祭りがあると聞いてはトマト祭りに参加したり、
だれかが薦めていたことを思い出しては、
サンティアゴデコンポステーラ、ポルト、リスボンを回ったり。
特に、見たいもの、やりたいことがあるわけでもなく、
行き当たりばったりでただフラフラしていました。
目的地に着いても特に感動することはなく、
目的を失ってしまった喪失感だけを感じていました。
仲間との合流まであと1週間。
ふと世界地図を見てみると、ポルトガルのすぐ下にはモロッコがありました。
そして、「サハラ砂漠」という文字が目に飛び込んできました。
特に目的もないまま、来てしまったヨーロッパ。
そんな自分にとって、サハラ砂漠は
その場しのぎの目的としては最適だったのだと思います。
なんかすごい自分になれるかも、とか、
みんなに自慢できるかも、とか、
浅はかなことを考えていました。
リスボンの宿のチェックアウトを翌日に控えた夜、
格安航空券は、まだ残っていました。
次の日、モロッコ行きの飛行機に乗っていました。
同期の桃井からバトンを引き継ぎました、大石将平と申します。
どうぞよろしくお願いいたします!
>桃井、海外ネタかぶっちゃいました笑
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