師匠の話
伊藤健一郎
門田さんの弟子の、宮田さんの弟子の、伊藤です。
そう、私の師匠は、宮田知明さん。
転局して(私は元ストプラ)すぐの面談で、
宮田さんは言いました。
「コピーは教えられない」
そしてもう一言「ごめん、俺なんかが師匠で…」
いきなりなんてことを言うんだ (笑) って感じでしたが、
自分なりに必死に手を動かした経験がある今、
宮田さんが何を伝えたかったのかわかる気がします。
コピーは型があるようで、ないですし…
考えて、壊して、考えて、壊して、考えて、
ひたすら言葉を鍛え続ける仕事ですし…
結局、本人が身を以て学ぶしかない、ってことですよね?
宮田さん、そうですよね??
ちなみに、私は初期の頃、コピーを否定されると、
自分自身が否定されたようで傷つきました。
今では笑い話ですが、鬼殺しをすすりながら、汐留から渋谷(家)まで歩いたものです。
でも、宮田さんも、いつも苦しんでいました。
「むずかしいなぁ…どうしたらいいんだろうね…」
ずっと考えていました。弟子の目の前で頭を抱えているんです。
ですが、そんな“胃を痛め続けるスタンス”こそ、
宮田さんが身を以て教えてくれた財産だと思っています。
そしてもうひとつ、特筆すべき教え。
“本当にツラいときに飲みに行ける、同世代のコピーライター仲間をつくること”
(宮田さんにとっては、英太さんですね)
若手のコピーライターたちって、なんかぎくしゃくしていません?
だから、これが結構むずかしいと思うんですが、
幸い私は、部内に見つけました。土公ちゃん。
(土公ちゃんは、英太さんの弟子)
欲がないと言われる我々は、コピーの話はまずしません。でも、だからいい。
同じ苦しみを知りながら、ろくでもない話ができるって、サイコーじゃないですか。
(スイッチをオフにすると、思考も整理されますしね)
宮田さんと仕事をするようになってから、私はどんどん仲間が増えました。
だって私の師匠は、多くの人に出会わせてくれましたから! (すみません、自慢です)
孤独に陥りがちなコピーライターをしながら、
私は、いま、この上なく人間関係が満たされています。
人間と向き合わなければ、コピーは書けない。
人間と向き合えさえすれば、コピーは書ける。
宮田さんから、たくさん教えてもらって、いま私が言えることです。
「ごめん、俺なんかが師匠で…」って、宮田さんは言いました。
でも、
宮田さんが師匠だから、よかったんです。
いつも、ありがとうございます!
宮田さんの弟子 伊藤健一郎
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