リレーコラムについて

ヒロイン

室屋慶輔

どうも室屋です。
前回のコラムから引き続き。
(未読の方はお手数ですがご参照くださいませ)

戦々恐々としている教室。

とにかく、はやく
『ここではないどこかへ。』

そんな一心だった。

人はやはり、予期せぬ
出来事の前では無力である。

しかし、室屋少年は経験上知っていた。

大事なのは、いじられたり
からかわれた時は
その倍のノリで返すこと。
海外では特に。

黙っていたり、苦笑いだけで反応がないと
いじった方もバツが悪く、
「つまんね」となってしまう。

そこで、少年はセオリーに加えて
“相手よりもイカレてみる”
という英断を下す。

急に「フッ」とほくそ笑み、
手を招いて挑発する室屋少年。

『やあジャラン。
 オレと握手できることを光栄に思いな。
 オレは日本に数人しかいない
 NINJAの末裔だ。
 見よ、これが本場のKARATEじゃ。アチョー!』

実は少林寺拳法をやっていたので、
無駄に派手に、その型を見せる。

日本ではドスベること必至であろう、
こういう大味の安直な祖国ボケ。

ウケた。

ジャランを含めそのクラスの男連中とは
「ランラーン(にゃらん?)、ジャラン♪」てな感じで
光の速さで仲良くなることに成功。

しかし、じゃれ合っていたその時、
ふと一人の女の子が口を開く。

「暴力はマズイわね。暴力は…」

室屋少年に
「困ったひとね」
というような穏やかな笑顔を向け、
外の景色を眺める女の子。

「暴力はよくないよね…」

一人でも雰囲気のある人が現れると、
その場はしとやかに説得力を持つものだ。

いつの間にか、みんなの心の中は
一つの見解にまとまっていた。

“NINJAなのはいいとして、暴力はマズイ…。”

あれ、思ってたんと違う。

NINJAでもないんだけどな。

しかし、もはやそんな総意が
どうでもよくなるほど
室屋少年の胸は高鳴っていた。

ちょっ、この女の子…

でらべっぴんすぎる。

なんだろう。

この、エマワトソンをもっと
可愛くしたような奇跡の存在は。

この上位互換がありえたとは…。

手入れの行き届いた金髪に、
恐ろしく長いまつ毛。

僕は、このしとやかな美少女に
完全に恋してしまったのでした。

ということで次の回では、
彼女とのやりとりや
カフェテリアでの人間模様などを
書こうと思います。

それでは。

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