カフェテリア
室屋慶輔
どうも室屋です。
まだまだ転校初日の話は続きます。
(それだけカルチャーショックが大きかった)
ランチタイム。
クラスの連中についていくように
カフェテリアへ。
元々いたロスの日本人学校ではお弁当だったので、
学校で出るゴハンは、小学校の給食以来。
専用のレーンがあり
食べたいメニューを言うと、
ウーピーゴールドバーグみたいな
包容力満点のおばさんが
プレートによそってくれる。
メニューは9割方、ジャンクフード。
ハンバーガー、ピザ、フライドポテト、
チキン、タコス。などなど。
どれを組み合わせるかは自由だが、
ほぼ“主食級”しかない。
日本で言うとお好み焼きも食べて
ゴハンも頬張る、みたいな。(いや違うか)
牛乳もフレーバーつきで
チョコレート、バナナ、ストロベリーから選ぶ。
そこに生温かく柔らかいクッキー
(これは絶品…最高級カントリーマアム的な)が
付いてくる。
ちなみに、そんな周りの暴飲暴食に感化された結果、
順調に肥え、日本に帰ってきただけで
8kg痩せるくらいでした。
だだっ広い空間に、ずらっと
横長いテーブルが3列並んでいる。
さあどこに座ろうかなと辺りを見渡すと、
目を疑う光景が。
真ん中の列の、テーブルの一角。
あれれ、どうしたんだろう。
また美人しかいないよ。
前回のヒロイン、エマ・ワトソンちゃま
とまではいかないものの
左からべっぴんさん、べっぴんさん、
一人飛ばそうと思ったらその子は
それを補うような豊満なバディ。
みんなすでに細いのに、
家から持参したであろう
野菜スティックとか食べてる。
ジップロック!
『みんな可愛くないっスか!? この学校すげーな!』と
味の素スタジアムのCMばりに驚いていると、
その美女たちの対岸には、屈強な男たちが。
「おい、ケイスケ。
何ボーッと突っ立ってんだ。
こっち来いよ」
このコラムに何度も登場するが、
お調子者のバスケマン、
ジャランだ。
オススメの宿や露天風呂を
ゴリ押ししてくることもないし、
意外といいヤツだ。
なぜあのテーブルだけ美人と
イケメンマッチョしかいないのか聞くと
「なぜってそういう習わしなのさ。
とってもシンプルなヒエラルキーだ。
彼女たちはチアリーダーの一軍。
向かいはアメフトのスター選手。」
との答えが。
露&骨。
マジぱねぇ。
こんな絵に描いたようなROKOTSU見たことねぇ。
日本だけでなく、スクールカーストの
えげつないヤツがアメリカにもあったとは。
詳しく聞くとそのメインの一角から
男は順にアメフト、バスケ、野球の
スター選手と並んでいるそうで。
女はチアリーダーの一軍
(女王蜂、クイーンビーと呼ばれているらしい)、
セレブ系、ちょっとバッドなイケてる子。
あとの二つのテーブルは
大雑把に言うと
人種別とその他。
ブラック、ヒスパニックや
アジアンコミュニティ。
そして、ギークやナードと呼ばれる
いわゆるオタクたち。
うわあ…。
これはひく。
ただ、あとで振り返ると
日本のカーストは陰湿な感じがしますが、
海外の方は割とカラっとしてました。
もはやカテゴリーが違う、
役職が違う、
というような。
バスの後部座席はヤンキーの指定席、
みたいなのあるんだな、と。
そんな衝撃から一週間後。
実は、室屋少年は小6から
趣味でギターをやっていました。
バンドって不良がやるんですね。
万国共通、不良には一目置く。
PEという保健体育の授業の自己紹介で、
「好きなバンドはLINKIN PARKです」と
コピペのように言う男子たち。
当時まだ無名だった。
どんなもんかと、家の近所にあった
BEST BUYという家電量販店で
すぐ買ったなー。
そんな中、授業終わりに
一人のバッドボーイが近づいてきた。
『ヤバイ、確実に殺られる…』
そう思いましたが、私の地元
日本のシチリア、北九州の血が
「なんとかなる」と言っているような気も。
往生際だけは、おれもバッドだ。
彼は、私が着ていた
NIRVANAのTシャツを指差して一言。
「LINKIN PARKはクソ。
それは、いいバンド。センスあるな」
と。
数ヶ月後のカフェテリア。
バスケをやっていたので、
引き続き“2番目に”人気な
彼らのテーブルにも呼ばれていた。
バンドをやっていたので、
先ほどの彼
(マイケルというひねりのない名前だった、“トリバゴ”とかなら…)
の紹介で、バッドボーイズ&ガールズとも親交が深まった。
観るのはサッカーの方が好きなので、
往年の選手の話で
『お前のスルーパスは全盛期のルイコスタのようだな』
とベタ褒めし、ヒスパニックとも仲良くなった。
アジアンコミュニティでも、
韓国と中国の友達と
お互いの言語で汚い言葉を教えあうことで、
結束した。
…ご覧の通り、コウモリ野郎としてサバイブしてきました。
そんなBATMAN(ダサい)のお話でした。
ヒスパニックたちに
「NAKATA」と呼ばれるのは
悪くなかったな。
さて次回、エマの出番。
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