リレーコラムについて

どうしてこれが受賞なの? にお答えしたく。

熊谷卓彦

どうしてこれが受賞なのか、
納得がいかないことがあると思います。
賞に限らず、普段の仕事でも、
どのコピーが良いのか迷ったり、選ばれない理由がわからなかったり。
クライアントだって、どのコピーが良いのかわからない時があります。
年鑑に解説があるとより役に立つ本になる、と編集委員たちは思いました。

そこで、最終審査委員の方に「このコピーに投票した理由」を伺いました。
37人全員、お一人ずつ、編集委員が分担して。
受賞作やファイナリストの108個のコピーについて。

それは、想像以上に貴重な時間となってしまいました。
こんな時間をいただいてしまった責任に、押しつぶされそうなくらいでした。

コピーの良し悪しを伺うことは、
広告制作のスタンスや方法論を伺うことでした。
抜きん出た結果を出していらっしゃる皆さん。
お話は深く、広く、頼もしく。
こんな師匠や先輩や同僚がいる会社って、
心底羨ましいなと思ってしまいました。

そして経験を積んできたプロだからこそ気づく、
言葉の使い方の妙や、
言葉を定着させるまでの道のりの険しさもあります。

そんな皆さんのコピーへの評価は、時に分かれます。
皆さんのお考えや感覚に従って、妥協できない一線もあられます。
皆さんがお持ちの、制作のルールのぶつかり合い、のようでした。

伺ったお話は、一冊にまとめて年鑑に添える予定です。
コピーの、ルールブックのようなものになるかもしれません。
ぎゅっと圧縮されるでしょうから、ぜひ、行間まで読んでいただきたいです。

消費者が選ぶのではなく、
文化人が選ぶのでもなく、
メディアや代理店が選ぶのでもない、
仕事人が選ぶ賞の解説ですので、
きっとみなさんの仕事のヒントになると思います。

個人的には、悩めるクライアントの方が
自分なりの判断基準を作っていくのにも役に立つのではないかと。
よろしければ、担当するクライアントの方にも紹介してみてください。
じゃあこの審査委員をしている人に仕事を、
なんてことにはならない…と思います…たぶん…。
私なら、普段から研究していて、
こういうことを教えてくれる人を一番に信用します。

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