リレーコラムについて

ゴミになる。

米田恵子

毎日、名作を目にできる環境は、恵まれた環境ですか。
そう思いますよね。
でも、入社半年過ぎたあたりから、徐々に圧倒的な格差を思い知り、
あろうことか師匠への尊敬は黒い嫉妬に一変したのが私の場合。
嫉妬は積もり積もって劣等感に変わり自分の心を蝕みはじめ、

私はゴミだな

という底にたどり着きました。笑
私小説みたいなキャッチばかり書いていた人間が
いきなり企業スローガン、ステートメントを考える。
コンセプトの勘の悪さやぬるさへの指摘は徹底的で、
企業を読めない自分は使えないクズで、書くことがこわくなりました。
無断欠勤を重ねたり、コピーを辞めて転職を考えたり、
でも「東京の人」には相談しない変な田舎根性があって、
間違って母に相談してしまい「帰ってきなさい」と泣かせてしまった
ことは今でも後悔です。救えないゴミでした。

入社して4年目。32歳のとき。
移動のタクシーの中で「どんな32歳でしたか」とふだん会話しない師匠に
聞いてしまい、しまった無視されると思った矢先、
「全く書けないのに、ウイスキーのコピー書かせろとか生意気だったよ」
と笑いながら答えてくれて、

焦らなくていいよ。

と言われました。耳を疑うほどのやさしい言葉に逆に焦ったのですが笑
見抜かれていたのですね。下積みを全うしろ、と言われた気がしました。

それから8年目、9年目になるとゴミにも年季が入ってくるもので、
人は、自分をゴミだと認識すると図々しく打たれ強くなるようです。

万が一、現在そんな方がいたら、貴重なゴミのひとときを、
どうか謳歌してくださいね。

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踏み込んだことがあまり書けなくて、
「サンプル」にならなかったらすみません。

来週は、松本巌さんにお願いしました。
年鑑でしかお目にかかれなかった先輩と仕事ができ、
しかもバトンを渡せる日が来るとは贅沢です。
よろしくお願いします。

NO
年月日
名前
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