リレーコラムについて

独立顛末記その五<風雲篇>

蛭田瑞穂

独立してなにが変わったかといえば朝型になった。
喫緊の用件がなくても9時過ぎにはオフィスに行く。
朝が早い分、夜遅い時間まで働くことはほぼなくなった。
(相変わらず遅くまで飲むことはあるが)
会社員でなくなったというのに、会社員の時より規則正しく働いている気がする。

先輩の佐倉康彦さんからナカハタに置かれていた新品同様の4Kモニターを譲り受け、
ホンシツの斉藤賢司さんから独立祝いにモニタースタンドをいただいた。
アップルTVでYouTubeやNetflixがいつでも観られる環境は整った。
おまけに共同でオフィスを借りている木下真は不在が多い。
それでも、仕事の合間にYouTubeを観ようという気にはならない。

人目がない分、一度さぼり始めると
際限なくさぼり続けてしまうのが怖いから、かもしれない。

僕は今までに3度会社に入り、3度会社を辞めた。
最初の会社は1年4ヶ月で、次の会社は11年8ヶ月で、その次は9年9ヶ月で辞めている。
そして今年独立した。

今思うのは、それらの行動はすべて、
自分なりの働き方改革だったのではないか、ということだ。

思うに改革とは国や企業だけが起こせるものではない。
個人が起こす改革があっていいし、むしろ個々人の生き方が変わって初めて、
社会全体の働き方改革が成し遂げられるはずだ。

その意味では、個人の働き方改革はどのような形でもありうる。
会社を変えることや独立は数ある選択肢のひとつに過ぎず、
当然、会社に属しながらの改革も可能である。

働き方改革。
それはすべての働く人の前でぽっかりと口をあけて待っている。
無論、僕自身の改革もこれで終わったわけではない。

来週のリレーコラムは今年新人賞を受賞したサン・アドの公庄君にお願いしました。
9月に公庄君が書いた東京コピーライターズストリートの
「9月の転校生」はおもしろかったです。

公庄仁 2017年9月10日


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