勝手に名作コピーの時間
雑誌「ブレーン」に「名作コピーの時間」という、
自分が影響を受けたコピーを3本紹介する連載がありますね。
「愛だろ、愛っ。」は何度も出てくるなぁとか思いながら、
自分ならこの3本かなと想像してみるものの…執筆依頼が来ません。
先月の「名作コピーの時間」は、
リレーコラムのバトンをくれた公庄君でした。
おっ、公庄じゃん。随分斜めから攻めたなぁ、
自分なら…いやいや。依頼は僕の頭上を通り過ぎていました。
やっぱりTCC新人賞を取った人とか、
伝え方が9割の人に依頼しますよね。
自分がブレーン編集者ならそうします。
なので、来る当てのない依頼を待つより
公庄君も先週のリレーコラムにボツ原稿まで掲載していたように、
僕も勝手にアウトプットして妄想脳を解放してやることにしました。
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「名作コピーの時間」 Vol.勝手 藤村君之
「好きな服の日は、ゆっくり帰る。」マツヤレディス/1997年 C/門田 陽
「恋人は、しょせん素人です。」ヘルス東京/1999年 C/手島裕司
「別府競輪の男達」 別府競輪/2009年 C/左 俊幸
90年代後半、僕は福岡の制作会社に所属していたのに、
なぜか電通の門田陽さんのアシスタントをしていました。
一年のうち364日は一緒にいて、
夜になるとメシに行こうと言って酒を飲ませてくれるのですが、
次の日にコピー出しがあることはわかっています。
「明日出すコピー、できたんですか?」と聞くと、
決まって「まぁ帰ってやるからさ」と芋焼酎をお代わりします。
二軒目は福岡のコピーライターが溜まり場にしているお店に行って、
いつもの顔ぶれとコピー談義で深夜まで盛り上がるルーティン。
僕は家に帰り着くと、机ではなくベッドに倒れこんでしまうのですが
次の日、門田さんから「コピーしといて」と原稿用紙が渡されます。
意訳すると「見とけよ」です。前の日あんなに芋焼酎を飲んで、
しかもこんな女子なコピーが書けるなんて。
しかも山のように。師匠はいつまでも偉大な山です。
✳︎
福岡コピーライターズクラブのFCC賞は欲しくてたまらない賞でした。
その公開審査の場に、ヘルス(エロい方)の
新聞小枠広告が出品されていました。
これ誰?自主制作?ズルイ!僕の中で蠢くダークサイド。
でもオモシロイ。会場でも大ウケ。
招待審査員の佐藤可士和氏なんて、佐藤可士和賞に選んでいました。
今となっては消したい過去でしょう。
その後、自分がコピーで「しょせん」と書くと、
「しょせん」は「ヘルス東京」(手島さん)のものだと躊躇します。
迷作のような名作です。
✳︎
広告は匿名の仕事ですが、これはあの人かな?とわかることがあります。
ユルい前フリに、素人が書いたような突っ込みコピーを入れる。
破壊的に衝撃の型でした。その後、同じ型で
「五ヶ瀬ハイランドスキー場 南ちゃんシリーズ」や
「おんせん県おおいた」などセルフカバーのようにヒットを連発。
左君は死ぬほど考え抜く人なので、パターン化を嫌うと思いますが、
この型をさせたら左君の右に出る人はいませんね。
九州・福岡は名作コピーの名産地であります。
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今週リレーコラムのバトンを受けた藤村君之と申します。
ブレーン編集部の方、勝手してすみませんでした!
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